かたこと、独立について大いに語る。
「プロワーカーバンク独立日記を書いてギフト券欲しい!」
ワタクシにとって「独立」というのは、自分の居場所の確保なんですね、社会に対しての。人間てのは組織でやっていける人とやっていけない人の二通りに分かれると思うんです。今は就職する前に派遣で試しに働いてみる、なんてコトが割合ポピュラーですが、ワタクシが学校を卒業していざ就職、という時分はポピュラーじゃなかったワケです。しかもまだまだ自分というモノが何か解らない時。そんな時に自分の一生を左右する会社を決めなければならない。だから入社は「とりあえず」だったワケです。ワタクシは以前、設計会社に勤めてましたが、「なんでその会社に入ったの?」と聞かれたとしても、大した理由なんか無い。ほんの些細な理由でしかない。もちろん当時はそんな「とりあえず」なんて簡単な気持ちではありませんでしたが、今思えば要は「ぶっつけ本番」なワケで、とりあえず入って仕事をやってみないコトには何も分からない、判断すらできない、と。今でもそんな人たちがたくさん居ると思いますが。
ワタクシが「会社を辞めたい」と思ったのは入社して一年半経った頃。チリも積もれば、で蓄積したモノが我慢できずに爆発。ただこの時は親にたしなめられ一応は沈静。次は入社後三年目。この時はもう「会社辞める!」と心に決めました。自分は人の作った組織内では働けない、精神が耐えられないんだ、と。人の組織で汲々としながら、底無し沼に片足突っ込んでいる自分が耐えられなかった。このままだと全身がマヒしてしまう、抜け出せなくなってしまう、、。
ただ「じゃあ何をやろうか」というその「何を」を見つけるのにさらに三年経過。大それたコトを考えるのではなく「今の自分に何ができるか」という視点で考え始めました。自分が飽きずに続いてるコト、何でもいいから、、。本が好きだし、ちょっとは音楽も好きだし、何よりやっぱりモノをつくるコトに関わっていたい。そんな断片的な要素を集めたら「カフェをやりたい」になったワケです。
ワタクシはどーやらモノを仲立ちにすると、人とコミュニケーションがとりやすい特性があるみたいなんです。勝手にそう思ってるだけですけど。設計会社から接客業て全然違う職業ですが、設計会社に入る前に、3年ほど本屋でバイトをしていました。ワタクシは人に接するのが苦手なので、ソコを克服できればと思い、武者修業という気分で働いてました。その3年間が原体験だったと思います。
今でもハッキリ覚えていますが、幼稚園で「社会」というモノに初めて触れました。ソレを自覚しました。たぶん浮いてたと思うんですが、自分のキャラが受け入れられず非常に疎外感を感じていました。ソコから明るい子が押し黙るようになり、今でも尾は引いています。ワタクシはその時点ですでにリミッターがかかってしまっているので、なかなか自己表現がヘタです。
現在はレストランで鍋を振るっていますが、前に働いてたレストランではホールで接客をしていました。店というのは面白いモノで、街中で赤の他人と急に話したりなんてコトはありませんが、「店」というモノが仲立ちになると、お客さんは一歩「お店の世界」に足を踏み入れるコトになり、サービスを受け入れる体勢になっています。ソレが当然、というぐらいな感じで。なので、こちらも躊躇するコトなく自分の相手に対する気持ちを素直に表現するコトができます。お互いに照れるコトなく。一般社会では「浮いてた」自分が、店では活きたのだと思います。この時の高揚感が今のワタクシを突き動かしています。
そして時は2001年。ワタクシは元旦に「今年は会社辞めるぞ!」と心に誓い、4月1日運命の日。神戸のバンド、オーバーコーツのライブを観て「自分もこんな風に楽しく生きてもいいんじゃないか?」と思い、6月末付けで退社しました。精神的なストレスで偏頭痛に頻繁になったりしてたのもありますが、会社としてもその場限りの仕事をこなすのに手一杯で、半年後一年後の会社としてのヴィジョンがまるでなかったんですね。ライバル会社が7社ほどある中で自社の評価はビリに近く、しかもドコの会社も頑張ってるはずですから、普通に頑張ったってなかなか差は縮まらないワケです。何か自分の会社の売りがなければ、他社を抜きん出るモノがなければと思うのですが、先行投資する経済的・精神的余裕がない。ただ正月明けに「がんばろう!」だけでじゃあ具体的に何をどう頑張ろうかが全くない。会社のトップが目隠ししてて、後ろに付いて行けるワケがないじゃないですか。今ならまだソレでも自分がしっかり支えていこう、なんてコトも思えますが、当時は思えませんでしたね。人の組織で働くより、小さくても自分で旗を振って歩きたい、そう思いました。
ソレが引きがねになって辞めたのですが、学校に行く手続きやら全く済んでなかったので、かなりフライング気味でしたね。たしかに来る波に乗るのは重要なんですが、できれば準備万端で移行した方が間が空かなくていいですね。そしてよく「30才までに独立!」なんて聞きますが、ワタクシは賛同しかねます。というのは歳をとってから見えてくる・解ってくるコトてやっぱりあるんです。それに20代だとまだ資金的にも足りないはずです。ワタクシは30才から独立がベターだと思います。それも30才〜35才の間に。ハローワークに行けば分かるのですが、求人はホトンド45才までです。すると40代半ばで独立というのは、失敗のリスクを考えると大き過ぎます。ソレなら50才過ぎて早期退職で独立とか、定年退職で独立の方が良いと思います。でも若い時のように容易にアルバイトもできませんから、飛びこみで修行や学校に通うなど、お金が出ていくばかりではあります。30才〜35才なら社会経験もある程度あって、そこそこ資金も貯まって(お金を借りる自己資金も貯まる)、なおかつ独立に失敗してもやり直せる年齢、というのがポイントです。
生活と生きがいの両立というのはなかなかムズかしいコトだとは思いますが、揺るがない意志があれば可能であると信じています。やる気と行動力です。