「プロレスラーは強い!」というプライド。
今週はいくつか書きたいネタがあるんだけど、いっぺんに書く時間も無いし、いっぺんに書いても後で書くネタが無くて困るので笑、小出しに書いてこうかと。で、その中でもこの件についてまずは書こうかなと。
プロレスラー大谷選手が試合中に頚髄損傷を起こす重傷を負い、そのコトを受け「今のプロレスは危険すぎる」といった議論が起こる。こういった議論は今回が初めてではなく、最近で言えば新日本の高橋ヒロム選手が長期欠場に追い込まれた時もあった。
『こんな試合してたら、いつか死ぬぞ」というのはいつの時代にも言われてきている決まり文句だ。死の谷に張ってある「楽しさ」という名の1本のタイトロープを渡る。ソレがレスラーにとって「生きている」という実感。もはや誰も止めるコトもできず、自ら歩くのを止めなければ、観客は応援するしかないのだ。ソレが唯一彼らの力になるのだから。』
ヒロム選手についてはワタクシも好きな選手の1人だからいくつかブログに書いてる。
今回の件があって、ワタクシもいろいろ思うトコロはある。そして何人かの選手たちの意見も目にした。
選手側の意見を読んでみて、一番選手側の気持ちをシンプルに率直に代弁してるのが大谷選手のタッグパートナーでもある田中選手の意見だと思ったのでリンクを貼ってみた。一読願いたい。
ワタクシはこの田中選手の憤りをはじめは理解できなかったが、噛み砕いて考えるうちに理解できるようになった。田中選手はプロレスラーの持つプライドについて言ってるのである。プライドを尊重して欲しいと。プロレスラーは肉体だけで動いてるのではない。矜持、誇り、プライドが「プロレスラー」としての原動力でもあるというコトだ。コレがあるから痛い思いをしても動ける、キツい練習ができる、試合ができる。
「プロレスラーは強いんです!」という言葉は桜庭選手や中邑選手により言われてきた。総合に比較されて出てきた言葉ではあるけども、アレは「プロレスが最強」という幻想を守る、プロレスファンはもちろんのコトだけれども、プロレスラー側についても守るべき誇りから来る言葉だったのだ。
プロレスラーは強い。だから「可哀想」「危険」「危ない」という目で見るな!同情するな!とそういうコトを田中選手は言いたいんじゃないだろうか。プロレスというジャンルは常に世間の目と闘っている。昭和の時代よりはいくらかマシになったとはいえ、令和の時代になってもまだそういった目はあるだろう。世間の「プロレスは危険」「プロレスは危ない」、そういった世間と同じ言葉をおまえらプロレスファンも言うのか!と。田中選手はFMWというインディー団体でプロレス人生が始まった。この記事を見て、ベテランでトップの選手になっても田中選手には根っからのインディー魂というか、対世間的な考えがいまだもって根強くあるのだなあとしみじみ感じた。だからアレルギー反応として「危険」「危ない」といった声に反発せざるをえない。己のプロレスラーとしての存在を脅かす呪いの言葉だからだ。まるで自分がどインディーから成り上がった血のにじむような努力を踏みにじられるように、プロレスラーとしての存在を全否定されてるように感じたのではないだろうか。
一方、近くで大谷選手を見てきたある選手は、田中選手とはまたちがう発言をしている。
橋本大地選手だ。橋本大地選手のこの記事の発言は、もしかしたらプロレスラーとしてはあるまじき発言なのカモしれない。プロレスラーというよりは橋本大地個人としての発言だと思われる。ボロボロの大谷選手の姿をそばで見てきたからつい出てきてしまった発言。コレも本音だと思う。大地選手は父親の故橋本真也選手を失っているからこそ「親父代わり」としての大谷選手へこういった言葉が出てきてしまうのではないだろうか。そう考えると納得できるし、彼しか言えない言葉だとも思う。
大地選手の気持ちも分からないではない。痛いほど十分伝わってくる心の叫びでもある。しかしソレでもあえて復帰を促したいのは、やはり同じように「頚髄完全損傷」の重傷から復帰へ向けてリハビリを懸命に頑張っている高山選手が、なぜリハビリを頑張れているのかといえば「またいつか自分の足でリングに立つ」という夢であり目標があるからこそだ。だから頑張れる。ココで大谷選手から「リングへの復帰」を取り上げてしまえば、いったい彼は何に向かって頑張ればいいのだろうか?大地選手としては「十分だからもう頑張るのをやめてくれ」てコトなんだろうけど、人間何かしらの目標があるから頑張れるというタイプの人はいる。大谷選手は他人から求めれられて頑張るタイプだと思う。だからこそ「ガンバレ!」としか言うしかないのである。たぶん今回一番悔しい思いをしてるのが大谷選手だと思う。プロレスラーは強い!と言えなくなってしまった自分、そしてそのせいで周りに迷惑をかけてしまってる現状について、、。
ワタクシ含むプロレスファンは、プロレスラーが持つ「プロレスラーは強い!」というプライドを尊重する。ソレが彼らプロレスラーの砦なのだ。そういう姿勢であり考えでコレからプロレスを観ようではないか。我々ファンはは世間とはちがう。観る側も覚悟を持って観よう、というコトだ。