過去があるから今がある。石(意思)が積み重なってココにいる。
ムダなコトは1つもない。未来とは「今」の連続である。

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 ◇最新グッズ◇  『靴箱→ファイルボックスへトランスフォーム!』 

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漫画マンガMANGA 其ノ四。

茄子 (1)
茄子 (1)
黒田 硫黄

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この黒田硫黄『茄子』もまた、思い出しては何度も読みたくなる作品です。
何て言うんでしょうね?この作者独特のセンスといいますか、他の作品を見てもそうなんですけど、一連の黒田硫黄漫画に流れる空気感というものは。
わたくしなりに考えてみたところ、まず感情の起伏みたいなものがあまり無いというコトです。喜怒哀楽の「怒」はほとんど無いという感じで、話は淡々と展開して行きます。ただこれが言葉では伝えるのに難しいところなのですが、漫画の登場人物たちは活き活きしているように見えるのです。登場人物たちのほんのちょっとしたしぐさが妙にリアルなのです。1巻に収録されている『アンダルシアの夏』、これはツール(自転車競技)の漫画なので例外的に汗は飛び散っていますが、それでも汗臭くなく生臭くなく泥臭くなく、独特のセリフ回しも含めてそういった登場人物たちの生き方は一見クールでセンス良くカッコ良いように思えます。
実際そこが黒田硫黄氏の作品の魅力なのですが、それは裏を返せば一連の作品の根底に流れる、特にこの『茄子』に関しては「諦観」、人生に大して何も期待していないというような諦めムードの濃厚さのように感じ取れます。そういったふてくされやいじけを越えた先の諦念が一種の悟りのようなものに昇華され、作品全体を支配し、そのことが黒田硫黄然とした作品を形成するわけです。作者の人生観みたいなものが投影されているのかもしれません。
特に男性陣たちが、そういった生きるのに面倒くさくて投げやりでという気持ちで、逆に女性陣たちは元気で男っぽいのです。作者の女性観なのかもしれません。
絵がヘタと評されてもいるみたいですが、わたくしはそうは思いません。ヘタというのは本人が頑張って描いても表現しきれないわけで、誰もが写実的な絵を好むわけではありません。いや、それはそれで好きだとしても自分が描く、となるとまた別なんだと思います。作者は意識的・意図的にこういった画風なんだと思います。たぶん丁寧にちゃんと描こうと思えば書ける技術は持ち合わせてるのでしょうけど、そういった画風は作者的には魅力を感じない・自分が描く絵ではないな、ということなのでしょう。
丁寧に書いた線よりはスピーディーで勢いのある線。インスピレーションやイメージを活かした線。収録されている作品ごとに線が違います。この作品にはこういう線。そういう線の持つ力を重視しているのだと思います。そういう線の方が自分の漫画には合ってるということなのでしょう。わたくしは作者の絵と淡々とした話の展開と諦念の空気などの全てがうまいぐあいに合わさってると思います。わたくしの言わんとしているコトは、一度見てもらえば分かるとは思いますが。