過去があるから今がある。石(意思)が積み重なってココにいる。
ムダなコトは1つもない。未来とは「今」の連続である。

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 やぎ本。⇒本が大好物なやぎのぢぇーむすくん(a.k.aかたこと)がオーガナイザーを務めるやぎの本棚、略して「やぎ本」。本や本にまつわる情報の紹介。神出鬼没でごくまれに登板します。
 ◇最新本◇  今年(といっても2021年だけど、、)読んだ本。後編 

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 Everyday39(エブリデイ・サンキュー)⇒katakoto cafe、やぎ本。につづくかたこと第3の架空のブランド。かたこと流に「毎日が楽しくなる」新たなアイデアを加えたグッズ関係のブランドです。
 ◇最新グッズ◇  『靴箱→ファイルボックスへトランスフォーム!』 

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 祝☆overcoat’s(オーバーコーツ)再結成記念!!  ワタクシが検索しやすくするため(笑)overcoat’sについて書いたブログをまとめて読めるようにしました。ブログタイトル下のカテゴリー「overcoat’s」をクリックしてね~☆
 ◇最新ブログタイトル◇   『Overcoat's(オーバーコーツ)21年ぶりの新アルバム!『9 numbers,Groovy!』を聴いて。♪♪その5♪♪』 

漫画マンガMANGA。

ども、ぢぇーむすです。不定期出没でごめんなさい。

最近、漫画を良く見ています。10年ぐらい前までは読んでいたでしょうか。でもそれからはほとんど漫画は手に取らなかったのですが。というのも、あんまり面白いと思える漫画がなかったからですね。
読んでるのはいわゆる「青年雑誌系」というのでしょうか?スピリッツとかモーニングとかビッグコミックオリジナルとか。あの辺界隈のコミックを読んでいます。現在掲載中のも既に終わってしまってるものも。

PLUTO (1)
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浦沢 直樹 手塚 治虫 手塚 真

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現在進行形のでは、浦沢直樹氏『PLUTO』(プルートウビッグコミックオリジナル)。モチーフはあの手塚治虫先生『鉄腕アトム』の中のお話です。だからアトムも出てきま、した。過去形というコトはプルートゥにやられちゃったわけですが。まだプルートゥはその全貌を明らかにしていませんが、やっと次の号あたりから(?)明らかになるのでしょうか。御茶ノ水博士も天馬博士もウランも、馴染み深い手塚キャラみんな、浦沢バージョンで描かれています。

ムーたち 1 (1)
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榎本 俊二

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榎本俊二氏『ムーたち』(モーニング)。わたくしは榎本氏はゴッキー(ゴールデン・ラッキーの略)の頃から知っていますが、途中の『えの素』は知りません。ただなんとなくは知っています。
ゴッキーは当時流行っていた不条理マンガの中でも、最も難解で上級編なマンガでした。かなり濃密な榎本ワールドなので、難解7,8割。たまに理解できるのがあるとホッとする、というへんな緊張を強いられるマンガです。ただそれに対してのチャレンジ精神、怖いもの見たさ(笑)みたいなところが。あとそのエキセントリックな存在感が妙に気になるというか、後を引くのです。
あれから時間も経ったのでもう少し理解できるかと思い、最近また読み直してみましたが、やっぱり分からない。手強い(笑)。ただあのマンガは思うに、全部を解る必要はないんだと思います。感覚的に「あ、この感じ分かる分かる!」という箇所が少しでもあれば、それでいいような気もします。
聞くところによると『えの素』は下ネタのオンパレードらしいですが、そこを潜り抜けての『ムーたち』。そういう位置付けだとわたくしは思います。下ネタでやれるコトはやりつくしたのでしょう。なので『ムーたち』ではほとんど下ネタは出ません。ものすごくアットホームなマンガです。
わたくしはこれは「バカボン」だと思っています。21世紀のバカボンというか、現代版、榎本版バカボンバカボンバカボンパパがバカやって、まわりの登場人物がバカボンパパの存在を容認してる、という感じですが、『ムーたち』に出てくる実(みのる:主人公無夫(ムーオ)のお父さん)は、一応頭がいいというコトになっています。分け知り顔のしたり顔のお父さんに調子を合わせる空子(そらこ:お母さん)とムーオという構図に、時々ムーオがお父さんの発言に極めて真っ当なつっこみを入れます。この「極めて真っ当なつっこみ」というのはバカボンにはなく、登場人物がパパのバカパワーに巻きこまれていくので、あれだけのスラップスティックになるわけですが。時代というのもあるのでしょう。
先ほどアットホームと書きましたけど、そこはそれ榎本俊二氏です。例の難解な榎本ワールドもゴッキーのように圧倒的ではないにしろ、随所にさりげなく、そしてストーリーの筋に散りばめられています。いちいち出てくる小物類に氏のセンスが窺い知れ、これら小物類も「モヤ〜ん」とした榎本ワールドの現出に大変重要なアイテムの1つとなっています。うちわに「冬」とか書いてあったり。そういうのを探す意味でも、何度となく楽しめる感じになっております。バカボンもある意味哲学的ですが、『ムーたち』はもっと明確に、直接的に哲学マンガです。画風はソフトですけど。ほのかにアメリカンホームコメディの雰囲気も感じられ、それも良いです。
とりあえずわたくしは、ちょっとお父さんに憧れます(笑)。こういう家族もいいもんです。

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻
新井 英樹

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あとこれは既に終わっていますが新井英樹氏『ザ・ワールド・イズ・マイン』。わたくしは作者の『愛しのアイリーン』『宮本から君へ』も知っていますが、画風がちょっとクセがあるのでわたくしは敬遠してたのですが、この作品ではその画風がばっちりマッチしています。
当時、一部ではかなり盛りあがってたらしいですが、遅れ馳せながら読んでみました。暴力的で殺戮的、残忍残酷バイオレンスシーンの連続で、登場人物はよだれやら体中の液体という液体を噴出し、「おしゃれ」とは全く無縁な、対極の位置にあるグチョグチョドロドロマンガで、始めの1巻2巻ではその衝撃が強すぎて、抵抗&嫌悪を感じる人も少なくないと思います。現にその辺のことでしょう。すぐコミックは絶版になったそうです(ちなみに現在は加筆・修整を加えられた『真説・ザ・ワールド・イズ・マイン』がワイド版で発売されています。)
でも3巻4巻と読み進めていくうちに「?」と思い出し、「ああ、言いたいのはそういうことじゃないんだな」ということが分かってきます。人なんてキレイなものじゃないんですね。一見身なりはキレイにしてるけれども、実はものすごくドロドロぐちゃぐちゃな生き物。人だって動物で、全て同じ土俵に立ってると。その事実を目の前に叩きつけられ見せつけられ、顔を背ける人もいるのでしょうけど、その混沌としたぐちゃぐちゃの中を掻き分け掻き分けした遥か彼方にあるもの。そこを感じ取ることができるかどうか。
これは読み手が試されているんですね。そういう表面的なことじゃないと。むしろこういうことを描かないと描けないものがある。これは必然なんですね、表現手段として。
たしかに今のマンガは暴力的な描写が多く、それは目に余るものがあります。これは本当に必要な表現なのか?と疑う描写も。そういうインパクトのある絵を描かないと作品を読んでくれない・引きつけられないというのもあるのでしょうけど、この『ザ・ワールド・イズ・マイン』はそういったヘタレマンガとは一線を画す漫画です。いっしょにしないで欲しい、という感じです。万人におすすめはできませんが、読もうと思う人にはどうか混沌と殺戮をかいくぐったその先、を感じて欲しいですね。

賭博堕天録カイジ 1 (1)
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福本 伸行

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『賭博○○録カイジ』(モーニング)。○○には黙示録の「黙示」だとか違う言葉がいくつか入ります。今は四部目なのかな?ギャンブルものなんですけど。でもギャンブルものというのは途中の心理描写が面白いじゃないですか。主人公が最終的には勝つに決まってるんですけど(笑)、それはキン肉マンとかドラゴンボールとかにも言えることで、途中の展開が面白いから見るんであって。
作者の他の作品もはっきり言って「同じだな」と思うのですが、一応主人公の性格付けは変えていて、この『カイジ』が一番わたくしには親しみやすいというか、好感が持てます。というのも他作品の主人公は神がかり的だったりするのですが、カイジは弱い面があって、そこが人間的でいいと思います。神がかり的じゃないところがいいですね。
作者が得意とするところ・持ち味は、登場人物の思考の動きが克明なところですね。正直、絵が上手いわけでもありません。なんかナニワ金融道を思い出すなと思ったら、登場人物が正面を向いてるところが多いんですね。あーだからかぁーと思ったんですけど、そういう画風でなおかつ話の展開がアニメのドラゴンボール並に遅い(笑)。しつこい。でもわたくしはかったるくはないな。たしかに余計な「ざわ」だの「あ゛?」だのありますけど。もちろんマンガだから、自分のペースで勢い良く読み進むことができるというのはありますが、その作者の得意とする心理描写で読ませるので、むしろガーっと引きこまれるわけですよ。ホントに人間の細かい機微が描かれています。そして最終的に勝つ。このカタルシスがいいわけです。

カイジ』にしろ『ザ・ワールド・イズ・マイン』にしろ、人というのはつまるところどういう生き物なのか?というのが分かるんですね。カイジの場合は、ギャンブルというまさにイチかバチかの勝負。限られた時間など数々の制約・極度のプレッシャーの中で人はどれだけのことができるのか?真っ暗闇の谷底からもがいてあがいて思考をフル回転させて着想を得る。一筋の光明。そういう状況に身を置いて初めて見えることがある。だからギャンブラーというのはわざと自分をマイナスの、不利な状況に追いこむという行動もします。
わたくし思うに「自分をわざと追いこむ」というのは、これは意識的なことですから、全て計算づくでやってるわけです。あらかた考えられる負を背負いこむ。崖っぷち。でもその方がかえって対抗策が見出しやすくなる、とも言えるんじゃないかと。その状態をしばらく凌いでいれば、いずれツキがくる。もうそれ以上負の要素が無いわけですから。想定外のことが起こる確率が少なくなってるわけです。想定外のことが起こる得体の知れない不安さ、これを拭い去ることができるわけです。かえって冷静に、落ちついて対処できるんじゃないかと、そんな風にも思いますね。
こういのって人生上、生きてくるんじゃないかと思います。

漫画というのは、わざわざ登場人物たちがひどい目にあったり、考えられないありえないようなことをしてくれたりしています。そしてそこから登場人物たちが得るものを得たりして、漫画を読んでるわたくしたちに教訓を与えてくれたりします。わたくしたち実際に生きている人間の「肩代わり」をしてくれている、という考え方もできます。
『ザ・ワールド・イズ・マイン』に限らず、最近は暴力的で残酷な描写の漫画が多いです。しかしわたくしたちはその先、を見ることができます。わざわざわたくしたちが暴力的で残酷な中に身を置かなくても、登場人物たちがその肩代わりをしてくれてるわけです。なのでそういった暴力的で残酷な描写を、あらためて現実世界で再現する必要はないのです。そういったことを模倣するのはナンセンスです。むしろ作者の言いたいことはそういった描写のその先、にあります。

では、ゴッド・ブレス・ユー。