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バカ姉弟/安達 哲

バカ姉弟 (1)     ヤンマガKCデラックスバカ姉弟 (1) ヤンマガKCデラックス
安達 哲

バカ姉弟 (2)     ヤンマガKCデラックス バカ姉弟 (3)     ヤンマガKCデラックス バカ姉弟 (4)     ヤンマガKCデラックス バカ姉弟 5 (5) (KCデラックス) さくらの唄 (下) (講談社漫画文庫)

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どこの誰だかバカ姉弟。誰が呼んだかバカ姉弟。何者なんだバカ姉弟。『バシャール』から面々と続く流れはここに帰結する!全てはこのため!(ウソ)。ついにバカ姉弟の登場です。
作者の安達哲氏の作品は画像にもある『さくらの唄』から知っています。ただ当時にしては結構センセーショナルなエロマンガ島で、、エロマンガ島じゃないですね(笑)、作風で。掲載されていた雑誌がヤングマガジンなので「なるほどね」とご理解して頂ければ話は早いのですが、まぁ雑誌全般的にエロなわけでございます。なので「知ってる」だけでほとんど見ていませんでしたが。
安達氏の描く人物は独特の線の細さがあります。『さくらの唄』はほとんどギャグはなかったと思われますが、やはり安達氏の作品『お天気お姉さん』はバカ姉弟のようにコミカルではないにしろ笑える要素も散りばめられているようで、この『バカ姉弟』を初めて見た時(『カイジ』再開してないかな、とヤンマガをチェックしてるのでございます)、作者名に「安達 哲」と書いてあったので懐かしさも感じつつ、こんなかわいいギャグマンガも描くのだなと意外に思いながら反面納得もしました。
かしこの『バカ姉弟』もヤンマガに掲載されていたので(ちなみに今は休載中です。いつ再開するのかも決まっておりません)、どうやら読者層に合っていなかったのか(笑)連載が途切れ途切れになり、わたくしがこの作品に出会った2週後に休載となってしまいました。よってすれ違いです。こんなに面白いのに。ヤンマガの読者はふし穴です。掲載される雑誌の間違いです(笑)。コロコロとかに載るとたぶん良かったです。でもなんとかわたくしはこの珠玉の名作、『バカ姉弟』に出会うことができたのであります。
この作品は何度でも読み返したくなります。気が向いた時、何か気がすぐれない時、バカ姉弟に会いたくなります。イライラしてる時、気分が落ちこんでいる時に読むと心が晴れやかになります。読んでいる時、何とも言えない幸せな感覚に包まれます。昔味わったことのあるこの懐かしい感覚は何だろうなあ?と何度も読み返しているうちに分かりました。この作品は、安達哲版「フォレスト・ガンプ」です。あの、人を巻き込んで幸せにしていく感じ。まさにあれです。
今だから分かりますが、これは「共鳴」なんですね。ガンプは子供のような心を持ったまま成長して、姉弟はそのまま子供で。だから共鳴力が強く、存在するだけで人に良い気を分け与えている・送っているんだなと思います。安達哲氏はすごいものを描くようになったんだなあと思いました。
主人公のおねいちゃん(「おねい」は「地主 御寧莞」(じぬし おねい)と書いて本名です)は途中で4才になりますが3才児で弟の純一郎くん(弟は普通です。なかなか名前が判明しなかったのですが、5巻99ページでお母さんにこう呼ばれています。)といつも2人で、東京の巣鴨に住んでいます。彼らのご両親はえらい人のようで世界を飛びまわっているため、彼らには時々彼らの身の回りの面倒を見に志津香さんという人がやってきます。ただ関係が読んでいる方にとってはよく分かりません。おばさんと言ってるのでいわゆる「叔母」なんでしょうか?安達氏によれば、はじめにあまり人物設定を決めつけないで登場させてしまうらしく、たぶん話が進むにつれ徐々にキャラクターが固まってくればいいという考えなのでしょうけど、そんなことでこの作品は「謎」の部分も多いです。たぶんご両親の親戚縁者なのでしょう。
この両親というのも、というか両親の存在がこの作品最大の謎です。どうやらかなりのお金持ちのようで、姉弟はその点では何不自由ありません。2人でレストランのディナーを食べたりもします。5巻99ページでやっと、初めてお母さんの足だけ描かれていますが、どう考えても「オバQ」です(笑)。だから2人ともあれだけ食べるのか、と思えば変に合点も行きます。お父さんはとうとう出て来ず終いでした。
画像を見ても分かるようにおねいちゃんはおでこ丸出し、落ち武者のようです。弟は普通なのに。普通といっても2人とも頭が大きいですが、おねいちゃんはさらに異様に大きいです。2頭身。彼らは自動車のタイヤくらいしか身長が無いようです。
作品の舞台が巣鴨なので彼らはおじいちゃんに大人気です。誰もが彼ら、特におねいちゃんを溺愛しています。おじいちゃんたちはとにかくおねいちゃんの頭を触りたいみたいです。いつも誰かに狙われている・可愛がられているので、彼らは人に対して慎重です。追えば逃げ追わなければ向こうから寄ってくるという、その行動はまるでネコのようです。
彼らは頭が良いです。おはちがおはちなので脳みそがびっしり詰まっているのかもしれませんが、3才児とは思えない言動であり行動をします。そして何故か彼らの行動が良い結果につながっていきます。好循環。このへんが「神憑り」を感じさせるので彼らが神仏のように扱われる由縁です。おじいちゃんたちはおねいちゃんのご利益に授かりたいと思っているようです。2人はおじいちゃんおばあちゃんに囲まれて暮らしているので、妙に礼儀正しい言葉を使います。でもそこは3才児。やっぱり子供らしい一面も見せます。
それにしたって「どこがバカなんだろ?」と。一般的な子供より全然頭がいいのです。なのに何故「バカ」姉弟なんでしょう?「おう!バカ姉弟」という感じで、まわりの人からは気軽に「バカ」呼ばわりですが、別に誰も咎(とが)めるわけでもなく彼ら2人の知り合う人全てが「バカ姉弟」と呼びます。身内であろう志津香さんも容認しているご様子です。この辺も謎です。よほど過去にバカなことでもしたのでしょうか?(笑)
そんな彼らも巣鴨を離れ、やがては成長していきます。2人もいつまでもいっしょではいられません。彼らの成長した姿、それはここでは書きませんが、ヒントをいえばここがまさに「フォレストガンプ」度を上げていると思いますね。なかなか感動ものです。彼らのように、とくにおねいちゃんのようにいられたら、たぶん人生において何の心配もありません。大丈夫。
わたくしがとくに好きな場面&話は、おねいちゃんの寝る時のハラマキ姿、ラーメンを食べる時の音「ゾッ、ゾッ」、1巻の床屋のおじいちゃんの「ブッ」、同じく1巻の焼きにく屋でお手伝いをしてる場面、2巻の電報「えらい」、2巻「年賀状」の話、同じく2巻「体操選手」のおじいちゃんの大車輪、3巻のピアノの鍵を隠した「エリの下」、同じく3巻「カエル」(=帰る)の話、3巻「アゴ兄弟」の弁当のタコさんウインナーといちごの交換、3巻「まいご」のラスト「チャ」、4巻「マダム」のラストのまるでピタゴラスイッチのようなTVの仕掛け、同じく4巻「オリエント急行(後)」のコックが師匠のコーヒーに青唐辛子のペーストを入れて飲ませる場面、4巻「その男」、5巻の麗子微笑のまね、同じく5巻「アップルティー」の話、5巻「兎毛」のおねいちゃんがワナにかかる場面、5巻「なでる」、5巻「おむかえ」「家守」「太陽の子」「プリンセスダムコフ」などなど。
何はともあれ画像の表紙群を見て、実物を一目見たならバカ姉弟ワールドにはまること間違いなし!ですね。巣鴨に行って2人を見つけたくなりますよ。