抽出=成分の溶解とトレサビリティについて。(コーヒーセミナー①)
先週コーヒーのセミナーに行った。抽出の基礎とカッピングを学びに。カッピングについては後ほど書くとして、ワタクシはかねてからペーパードリップでコーヒーを抽出する時の、あの「『の』の字を書くようにお湯を注ぐ」というのに疑問を抱いていた。本でそういう文章を読んで抽出をやるとする。そうするとその「の」の字ばかり気にするようになり、一番重要なコトが見落とされがちになってしまう。「の」の字はあくまで「結果的」なモノであって、ソレ自体が重要なのではない。重要なのは「の」の字を書くコトではなく、
いかにコーヒー粉にお湯を浸透させるか。
コレなのだ。ソレには、お湯を注いだ時の粉の状態を注意深く観察するコトが最も重要。浸透具合によってお湯の注ぐスピードを変える。例え豆の品質は均一だとしても、保存状態により、または夏場の湿気の多い日や冬の乾燥してる日(コレは部屋の湿気具合の方が重要だが)でお湯の量など微調節が必要になってくる。なので「の」の字に固執する必要はない。
そう自分なりに思ってたんだが、セミナーでその認識をより深めるコトになった。セミナーでは抽出の基礎、というよりは「コーヒーそのものの基本」が学べる。ソレも基本の「キ」だ。ワタクシは前にも1回受けたコトがあるのだが、またその時とは細かい部分で若干ちがう内容に思えた。というのは、コーヒーの世界、とくにスペシャルティコーヒーの世界というのは、今まさに次の段階へ移っている時期で、その最先端にいるセミナーの先生には最先端の知識があるからだ。
コーヒー豆の品種改良が進み、精製の仕方も増えた。ス○バは年に1500とか言ってたかな?店舗を増やしているんだそうだ。ソレだけの店舗分のコーヒー豆を大量に買い付けしなければならない、という状況でコレはどんどん拡大する傾向にある。その中でほんの数%かのスペシャルティと呼ばれるグレードのコーヒー豆を確保してくのは、かなり困難な時代によりなってく。そうなるとス○バは、スペシャルティよりも1つグレードの落ちるプレミアムと呼ばれるグレードの豆も混入せざるをえない状況にいずれなるのでは?と考えていると聞いた。
以前から気になってたコトなのだが、ス○バで普通のコーヒーを注文したコトがあるだろうか?。メニュー表を見ると「グアテマラ アンティグア」などと書いており「アンティグア」の後が続かないので、「??」と思ってた。するとタネ明かしはこうで、グアテマラというのは分かるよね。そのコーヒー豆が採取された国名。で、アンティグアというのは「地方」。関東地方とかそゆヤツ。で、この後にどこどこの農園とか履歴が続くはずなんだけど、ス○バの場合はアレだけの店舗数なので、1つの農園だけでは量が足りないと。だからいくつもの農園の豆を買い付ける必要性があるので、その地方は地方だけど、その地方内での様々な農園の豆がブレンドされちゃってる。だから「アンティグア」までで終わってると、こういうワケらしくその謎は解けた。
今は牛肉のBSE問題から始まり、生産者やその食材に関わった企業や人についての履歴が分かるようになり始めている。生産者誰々とか書いてある野菜を見かけたコトがあると思うが、こういうトレサビリティというのはコレからさらに展開してくと思うし、コーヒーもその例にもれないワケで、このトレサビリティがより詳しくしっかりしてるモノ=良質なモノという方向・認識に進んでくだろうと。何かあればどこでミスがあったかがすぐに分かるのだから「責任」につながり、ソレはイコールその食材の自信にもつながるワケである。
そういった概念の導入や評価の共通化など、全域に渡って今まさに整備されてる最中である。ワインの世界はトレサビリティや評価の基準などがしっかり整備された世界で、その点でコーヒーはワインに近づいているというコトだそうだ。