田舎に泊まろう! 北九州7泊8日旅日記⑫。
★5日目★ 6/7(水) 晴れ ずっといい天気が続いてる。
朝6時ごろ起床。前の日に「かえるていっせいにピタっと鳴きやむよ」と親に言ってたので、そのコトを確認できたらしく「鳴きやむねぇー」などと話す。ワタクシはかえるの大合唱は不快ではない。むしろコレが田舎というモノなんだろー、という感じでその環境を受け容れてる。だから深い眠りではないにしろ意外に寝不足感はない。門司で話してた時、門司のおいちゃんは「あそこは夜、かえるがしゃぁーしぃから好かんちゃ」といって苦い顔をしてたけど。
ココのばあちゃんは早くから畑仕事をしてる。80過ぎたばあちゃんが、だ。毎日の日課であり習慣であり、ソレがボケずに健康でいられる秘訣なんだと思う。人というのはやっぱり何時に起きて、何時まで仕事をしてという自分に課す決め事みたいなモノがないとダメになるんだと思う。ある程度、適量なストレスてのはいるな。自由過ぎてもボケるんだ、きっと。その決め事が自分の生きがいになると思うし、生きてく支えになってると思う。たしかにばあちゃん世代は働くのが好きというのはあるだろうけどね。だからこういう田舎の人は、80過ぎて自分の趣味程度で決して商売にはならないし、商売のためにやらないだろうけど、働ける畑があっていいよね。
ココのばあちゃんは、耳も遠くないし、ワタクシら客人をよく気遣ってくれる。でもやっぱりおいちゃんおばちゃんの生活とは分けた暮らし。同じ屋根の下には住んでるけどお互い必要以上に干渉しない、というのは田舎や二世帯生活では当然なのだろうか。ワタクシからすればちょいクールなような気がしないでもないけど、たぶんソレがベストなんだろう。
今日で門司に戻るのだけど、電車の時間の昼過ぎまでまだ時間があるので、おいちゃんおばちゃんの畑仕事の一部始終を見せてもらう。
コレは「ぐみ」という実で、食べてみるとさくらんぼそのもの。下の赤く熟してるのは甘いけど、上のは酸っぱい(笑)。最初「ぐみ知っとる?」と言われて、お菓子のグミかと思った。何でとーとつにグミの話、、?みたいな。市場で売ってるのを見たコトないし、この辺でしか採れないモノなのかな?東京では無いよぉーと言ったら「あーそー!」と。コレは別に育ててるワケではなく、勝手に野生で育っちゃってる。ホントはこういうのをおみやげに持って帰りたいけど、腐っちゃしなぁ、、。コレが売り物になるとは地元の人は思わないんだろうね。コレのクラフティとかタルトなどの焼き菓子系もいいなぁと思うし、ゼリーとか実のまんまグラスに入れてシャンパンとかソーダ注いでも清涼感があっていいカモ、といろいろ想い巡らしてしまう。
手をかけて育ててるのはお米(コシヒカリ・夢つくし)やいも・きゅうり・大根などなど。ブルーベリーも育てていて、お店の豆腐ゼリーの上にジャムにしてのせている。でも柿とかたけのことか自然に成ってるのはそのまんまほったらかし。いっぱい成ってるらしいんだけどほったらかし。ワタクシら都市の人間からすれば「もったいなぁぁい!」なんだけど、結局管理する人がいないワケだ。田舎てのは人手不足なのだから。自ずとお金になる作物に力を注ぐようになり、そうでないモノは放置である。
おばちゃんは父親の姉だから60過ぎだし、おいちゃんもそう。おいちゃんおばちゃんには一人娘がいるけど、そのコは福岡で暮らしている。栄養師の資格を持ってるらしく、「いずれ店で働いくれるといいんだけどねぇ」ておばちゃんは言ってた。ただソレでは畑や田んぼの方の後継ぎがいない。娘が結婚して旦那さんが継いでくれればソレに越したコトはないけど、そううまくコトがいくかは分からない。ココのばあちゃんから考えても、おいちゃんおばちゃんが生活のために農業ができる時間が先々限られている。昔の人は大家族だったから自分の土地がたくさんあっても管理しきれただろうけど、おいちゃんの代でもすでに、土地を手放したりして減っている。例え後継ぎができたとしても、ソレはどんどん規模が小さくなっていくような気がする。おいちゃんの代までしかもたない、、という可能性も否定できない。
父親自身「こっちで暮らせたら」という希望を持ってるのだけど、いくら自分が小さい頃にやってたとは言え、都市生活40年以上も経って60のおっさんがすぐ農業なんてできるはずもないだろう。肉体的なコトもそうだし、なかなかこういう田舎では外部の人間は受け入れられそうで受け入れられないと思う。まぁでもまだ「一見さん」ではなく一応おいちゃんつながりだからソコはまだいいにしても。
1つ思ったのは、だったら「田舎=農業」ではなく、管理仕事みたいなコトを生業としてやればいいんじゃないか?と。現状がそうだろうし、コレから必ず田舎の人の手に余るいろんな事態が出てくると思う。その手に余る仕事や、自分の時間を取られるボランティアなどを側面からサポートする、ネコの手も借りたいの「ネコの手」になる仕事。自分の農地じゃなく他人の土地の管理・手伝いだからワケわかんない税金とか考えなくていいし、後継ぎも考えなくていいし。ソレでも充分生活できるんじゃないかなぁ、と思うけど。
畑仕事の後、朝昼兼用なゴハンをとる。食後にコーヒーが出た!インスタントだけどね。でも思ったとおりザラザラ感やトガった感じが無い。ペーパードリップでコーヒーを淹れるとクリアなので、トガった感じが出てソレが嫌な面もある。だから日本人はネルドリップのまろやかな感じを好みがちなんだけど、この水ならトンがらないなぁ。荷物になるからコーヒー豆&道具持ってこなかったけど、こんなコトならやっぱり持ってくればよかった。今度来る時はぜひ持って行こう。
12時をまわったのでそろそろ、と思ってるとおいちゃんが車で途中の駅まで送ってってくれると言うので乗っけてもらう。最寄りの駅まででよかったのに「道が混んでる」というコトで、家から1時間ぐらい先の駅まで送ってもらった。帰りも単線。ゴトゴト揺れながら2泊3日のド田舎生活を思い返す。
4時半ごろ門司の家に帰る。今日の晩ゴハンはかしわの唐揚げ(こっちでは鳥肉を「かしわ」と言う)、魚の刺身など。はまちかかんぱちか分からないけど、全然臭みが無い。東京で食べると必ず生臭さがあるもんだが、あるのは魚の旨みだけ。こっちは魚がおいしいと言うけど、結局その「おいしさ」てのは、臭みがなくて旨みが目立つ、というコトである。移動で疲れたので9時就寝。