昨日発売スペリオール押見修造先生連載『血の轍』 やくそくⅡ。
「もう飽きた」と吹石さんに言い放った静一の顔が静子そっくりだ。このコマのために数話の間「静子の表情を伺い、静子の言動を真似る静一」を描いたのか。いやもちろん今後の展開のためでもあるだろうけど、言い放った静一の顔は、まるで静子の仮面を被ってるようだ。
本当に吹石さんから離れる、静子の約束を守るというコトなら、待ち合わせはスルーすればいいだけの話。でも静一は踵(きびす)をかえし、吹石さんの待つ裏門へ向かった。はっきり彼女とは距離を置くために。ソレはまだ静一自身も自分が信じられない部分もあったのカモしれない。ブレやしないかと。自分自身の気持ちの確認のために裏門に行ったのだろう。ソレが強い言葉となった。未練を吹っ切るためでもあったのカモしれないし、自分が強い言葉を言えたという自信を得たかったのカモしれない。そのへんは静子にはお見通しで、次回あたり描かれるカモしれないが。静子にしてみれば靴やジャージなんかどうでもよく(たぶん処分するだろう)、吹石さんに会いに行った静一を責めるカモしれないが、ソコはあえてふれないカモしれない。
静一にしてみれば静子に嫌われないようにするには、彼女をそのまま模倣するのがベターだと考えたのだろう。自らも静子になるコトで、静子に支配されるコトで「自分」にフタをする静一。
でも彼は無意識カモしれないが、静一が静子を真似るのは静子の本心が知りたいからだとも思う。彼女になりきるコトで彼女の本心、闇の真相を探ろうとしてるのではないだろうか。まだ彼は、この期に及んでも彼女を救い出そうとしている。
かたや吹石さんにとっては絶望的な言葉だろう。しかしまだ中2の女の子だ。強い言葉そのものにダイレクトに、ストレートにダメージを受けるだろう。でも彼女は積極的で気が強い。父親にも歯向かい「めちゃめちゃ怒られて」も大丈夫と言う。彼女自身もいびつではあるし、弱さもある。だから静一に救いを求めてる部分はあるのカモしれない。でも彼女の家の家庭的な問題はあるにしても、まだ言い争いやけんかができるだけ長部家よりマシだと言えるのカモしれない。彼女自身が静一から離れられないなら、コレはいわゆる女の意地の戦いになるのだろうか。もう好きとか嫌いとかの問題じゃなくなる可能性も。だけど静一からは話さないと断絶されたのだから、形勢は圧倒的に不利な状況だ。実力行使に出るのだろうか。
今は静子を真似るコトで自分の心の安定を得ている静一が、再び自分の心がかき乱されると分かってても吹石さんに目を向ける時がくるのだろうか。
そういえば、手紙はどうなったのかな。まだ後生大事に持ってるのカモしれない。カバンに入れたまま忘れてるカモしれないな。ソレを静子が見つけ出して、、ていう。でもまたその展開?てのもあるし。