整体。共鳴から始まる 第5回。
整体。共鳴から始まる―気ウォッチング (ちくま文庫 か 48-2) 片山 洋次郎 関連商品 整体から見る気と身体 (ちくま文庫) 身体にきく―「体癖」を活かす整体法 整体 楽になる技術 (ちくま新書) 骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門 by G-Tools |
整体入門 (ちくま文庫) 野口 晴哉 関連商品 風邪の効用 (ちくま文庫) 野口整体 病むことは力 回想の野口晴哉 ちくま文庫(の-7-3) (ちくま文庫) 骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門 野口体操入門―からだからのメッセージ (岩波アクティブ新書) by G-Tools |
5回目ともなると飽きてきたでしょうか(笑)。もうすぐ終わると思うので今しばらくお付き合い下さい。
生き物としての身体の内側から湧きあがってくる本能的な充実感に即して生きるという、本能に忠実にありのままの形で個性が保たれ、それでいてなお全体とのつながりも良好という双方の両立がなされるのが1番良いのだと思いますが、なかなか物事単純にはいきません。
どうも人には「つながり」を求めながらも、共鳴的な関係を分断しようとする強い欲望も一方ではあるようです。このことに関しては『風邪の効用』『整体入門』(著者:野口 晴哉氏)に詳しいのですが、今まで自分が重い病を患ってたと思っていた人が、いざ整体を受けたらすっかり病状が改善されて「こんなはずじゃなかったのに、、」という肩透かし的な思いが逆に病の治癒を遅らせる。あまのじゃくな自我が邪魔をする、というのがあります。
それだけではなく「閉鎖的で同調を強いられる場」というのもストレスになります。こういった「つながり」はプレッシャーになるので、その場から抜け出したいという思いも出てきます。
こういった思いや欲望というのは人によって違います。1人1人の欲望によって社会的な構造をも作り出しています。社会といってもつまりは1人1人の思いによって作られているのです。地球には60億の人が住むと言われていますが、そこには60億通りの考え方・可能性があるわけです。
自己は世界から自立しようとする欲望を持ちながら、一方で世界との連続性によって成り立っています。自・他の分離と自・他の連続という意識の二重性は、矛盾する側面を持ちながらも自己の内側からの力(圧力と例えてもいい)と自己の外側からの力によって、自己の安定性が得られます。内圧と外圧によって自己の輪郭が現れるとイメージしてもいいでしょう。左手と右手を拝むように合わせてみて下さい。そして合わせた両手の境が自分の輪郭ということです。どちらか一方の力が強くなく等圧なのがバランスがとれてて良いということになります。
赤ちゃんというのは世界との連続性ばかりで自我がまだ目覚めていませんから(自我の希薄)、当然ですが社会性もありません。これでは社会は成り立ちません。
逆に内側の圧力が強いということになるとこれは自己に集中し過ぎている状態で、気が集中して停滞してしまうとまわりの世界との連続性を失い、意識が同じところをループしてしまいます。世界から孤立した感じ、いわゆる「自分探し」の状態やうつの状態でそれは自分にフォーカスが合いすぎてまわりが見えていない自己執着の状態なので、まわりとの共鳴がなされない・感じられないということになります。
実際には分離(集中)と連続(共鳴)を行き来することで自己の安定性が得られます。つづく