椅子。
人は誰もが、いまいちしっくりこない椅子に座らされている。身体を預けてみてもなんだか座りごこちが悪いので、立ってみては椅子を見返してみたり、つぶさに観察してみてはまた座りなおす。ソレでもどうにも落ちつかない。コレでいいのか?と思う。もっと他に座りごこちの良いしっくりくる椅子があるんじゃないか?と、辺りをキョロキョロ見回すが、どうも視界に入るホトンドの人も、自分の椅子の座りごこちに満足していないようで、自分と同じように立ってみては座りなおしてみたり、また立ちあがっては椅子の足や座面などを見てる。中には「もーいいや!」とフテ腐れ気味のやけっぱちになって、ふんぞり返ってる人もいれば、あきらめ気分にうなだれて小さくなって腰掛けてる人もいる。座るコトを拒んで椅子の横で立ったままの人もいる。だったら自由に動き回ればいいじゃない、と思うが、何故かその人は椅子の横を離れるコトができない。
自分だけが、座りごこちの悪い椅子に座らされているワケじゃないんだな、と知る。そう、あなただけじゃなく、みんな座りごこちの悪い椅子に座らされている。その日その日で微調整しながらなんとか座りつづけている。
革張りの、モノすごくふかふかそうな、アームレストかなんか付いちゃって、見るからに座りごこちの良さそうな高級そうな椅子がある。みんなの羨望のまなざしが注がれる。ソレでもその椅子に座ってる人はどうにも落ちつかない様子だ。なんだ、やっぱり座りごこち悪いのか、と思う。高ければいいてモンじゃないんだな、と。ソレとは逆に木組みで作られた簡素なスツールに座ってる人もいる。でもその人は「私はコレで充分」と言う。充分座りごこちがいいんだそうだ。へぇー。けして座りごこちが良さそうに見えないんだけどな、と思う。
ワタクシ?ワタクシはと言えば、コレは既成品だからダメなんだろうなと思って、今は材料を集めて手作りで自分の椅子を作ろうとしてるところ。ソレが座りごこちが良いかは分からないけどね。作ってみて座ってみないコトには分からないから、、。