過去があるから今がある。石(意思)が積み重なってココにいる。
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 ◇最新本◇  今年(といっても2021年だけど、、)読んだ本。後編 

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 Everyday39(エブリデイ・サンキュー)⇒katakoto cafe、やぎ本。につづくかたこと第3の架空のブランド。かたこと流に「毎日が楽しくなる」新たなアイデアを加えたグッズ関係のブランドです。
 ◇最新グッズ◇  『靴箱→ファイルボックスへトランスフォーム!』 

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日々ごはん1〜7、フランス日記などなど。

日々ごはん〈1〉
日々ごはん〈1〉
高山 なおみ

関連商品
日々ごはん〈2〉
日々ごはん〈3〉
日々ごはん〈4〉
日々ごはん〈5〉
日々ごはん〈6〉
日々ごはん〈7〉
フランス日記―日々ごはん特別編
たべる しゃべる
諸国空想料理店
帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。


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ずいぶんお久しぶりなやぎ本でございます。忘れてませんか?わたくし、やぎのぢぇーむすですよ。全くもっての気まぐれ&不定期具合ですが、今回は集中的に本の紹介をしたいと思う次第であります。
お久しぶりになった理由というか、この『日々ごはん』というタイトル、実は現在もなお、著者高山なおみさん自身のWEBサイトで執筆中の日記のタイトルでございます。高山なおみさんは料理家でいらして、わたくしぢぇーむす並びにかたこと氏が好きな料理家のうちの1人であります。その料理家高山なおみさんの周辺に起こる様々な日常の出来事を本にまとめたものであります。それが1〜7そして特別編としてフランス日記。これだけの量ですので、当然読むのに時間がかかる。
ただそればかりが理由ではなく、最後の方になると読み進めるのがもったいなくなるわけですね。貧乏性でしょうか?こういった長編本は読み進めて行くと、半ば習慣化します。先がまだまだある内はいいのですが、残りがだんだん少なくなるにつれ何とか延命させようとするわけですね(笑)。
まぁ、言い訳はこのくらいにして、とりあえずは最新のフランス日記まで読了しました。高山なおみさんという方は一見ぽやんとのんびりしたおっとりさんに見えますが、高山さんが作る料理には、野性すら感じられます。泥臭さ、土臭さとでも言いましょうか。分かりやすく1つ取り上げると、例えば葉野菜は包丁で切らずにできるだけ手でちぎります。そういう素材の持ってる生命力を器に盛って出してる、そんな感じがします。そこには優しさもあればたくましさもあります。料理というのは見た目では分からない、その人の内面が滲み出てくる、そんなものだと思います。
そしてわたくしが抱いてた高山さんに対するイメージというのが、本を読み進めて行く内に徐々に崩れていくわけです。昼過ぎ、ともすれば夕方に起きだしては旦那さんのスイセイ氏にごはんを作り、また寝てみたり、夜何軒かはしごをしてお酒を吐くまで呑んでは自転車ですっころんで二日酔い。図書館で本をたくさん借りてきては1日中部屋にこもって本を寝ながら読んでいる。読んでるととにかくやたら寝てるなぁとか、やたら二日酔いだよなぁとか思います。だったらそんなに呑まなければいいのに、と。高山さん自身もずいぶん遅くなってから気付き始めたようですが、それでもお酒というのは呑み出したら止まらないみたいですね。
なんてぐうたらなんだなぁ、と思いますが、かなり赤裸々にありのままの自分がそこには書かれてると思います。「これが私。だから変なイメージで縛らないでくれ!」という主張にも思えます。わたくしは読み進めて行く内に「若い頃の高山さんてどんな人だったんだろう、、?」というのが気になり出しました。
『日々ごはん』を読み終えたわたくしは、『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』を購入しました。発行順としてはこの本が『日々ごはん』よりも先になります。このエッセイ本は雑誌ロッキングオンに掲載されていたものを編集した本なので、若者向けということも意識されて書かれたエッセイだと思われます。なので対象者と同年齢の、高山さんの若かりし頃のことが書かれています。エッセイとしてはかなり初期のものだと思うので、まだ文にもつたなさが感じられますが、逆にそれが若さという生々しさに通ずるというか、荒さが良い方向に出てると思います。高山さん自身、若い時分いろいろあったようで、それが今現在の達観したような(そう見える)生き方を創り上げてるんだろうなと思われます。たぶん同世代の女性なら、女性にしか解らない機微の部分が、今読んでも通ずるものがあるでしょうね。
そして『日々ごはん』では開いたページに右上もしくは左上に、高山さんがその日食べた料理名が書かれています。こうして見ていくと、ああ、人ってのは毎日欠かさずごはんを食べていく動物なんだな、そんな当たり前のことに改めて気付かされます。ごはんだけは欠くことができない。何でもない毎日でもそれも積もれば、今発売されてる1〜7だけでも相当な時間の重みになるんだな、と。人生の厚みになるんだな、と思いました。だから1日1日を無為に過ごしてはいけないだとか、日々の活力になる食事も無駄にしてはならない、とかいう教訓を得ることもできます。本にはそういった内容は書かれていませんが。「日記を本にする」というのは、目で見て分かるという物質的な実感があります。その存在感から前の教訓的なことも思ってしまいますね。
「バイトの休憩の時に、本を開いて5分でも読むと、気持ちの切り替えができて、慌ただしい気分がニュートラルになってずいぶん重宝した。」とかたこと氏も言ってました。他人の日記本てこういう効能みたいなものありますね。何ででしょう?あれって不思議。他人の日常=自分の非日常だからでしょうか。だから読んでると旅をしてるような感覚にもなります。
『たべる しゃべる』というのは『日々ごはん』や高山さんの著作の中で登場される人々とのトーク本です。なので『日々ごはん』を読んでからこちらを読まれた方が、高山さんの人となりが分かって、より楽しめるとおもいます。旦那さんのスイセイ氏とのトークも載っています。
高山さんの文章というのは、高山さん自身も意識されてるように「自分の言葉・表現」という感覚を大事にしています。なので読んでると一風変わった表現だったりするところも見うけることができるのですが、この表現はやっぱり「この一風変わった表現」でなければそれは「高山なおみ」ではなくなると思う、というようなことをおっしゃっています。わたくしもどちらかといえば決まりきった表現より、感覚的な表現を重視しているのでその考えには共感します。
そういう部分をとってみても、編集者さんなどのまわりの方々が、高山なおみさんという人物を理解していらっしゃるからこそ、こういった形で出版できるのでしょうね。だから高山さんのどの著作、出版社問わず料理本にしても、そこには「高山なおみ」という1本筋の通った芯と空気感・カラーが打ち出されて1冊1冊封がされてるので、手にとったわたくしたちというのは、それを感じ取ることができるんだと思います。このへんは高山さん含む出版に携(たずさ)わる方々のバランス感覚の成せる技、だと言えます。