PSY・S Ⅱ
コンピューターを使った音なのにちっともそー感じさせない、手段はデジタルなのにものすごく広がりのあるアナログ空間(あの時代ですごいコトだ!)。すごく抽象的で絵画的な詞なんだけど、皮膚感覚、イメージで理解できる詞。理路整然と頭で分からされる詞よりも、映像がブワッとカラダを包み込むような歌。コトバてこゆもんじゃない?こゆモノでいいんじゃない?という感じさえする。サイズとはそんな相反するモノを内包して新たな高みへ昇華させる素晴らしいユニットだった。
まず何がいいかって曲が綺麗。ワタクシにはかかせない美メロという。同じコンピューター使い手でもTK氏、なんてのはあの曲とこの曲のフレーズを使いまわしたり、転調させて使ったりケッコーバレバレというかお手軽にミリオンセラーというか、まぁむしろソレがコンピューターのメリット、とでも言わんばかりであるが、松浦さんは似た曲が一切ない!勿論サイズのカラーに則した雰囲気だとかは、タイプ別に分けようと思えば分けられるが、アカラサマな使いまわしてのは皆無。で中にはアルバム「ATLAS」収録の「WARS」(アレはレゲェなのか、、?ジャンルのコトは詳しくないんで、、。この曲はアルバムで「Reprise」という形で再度登場するのだが、コレがラップ!なんである。)等のかなり実験的な曲もあり、松浦さんの先見性、守備範囲の広さというモノを感じずにはいられないし、ソレらをしっかり「PSY・S」に仕立ててるのだ。
チャカの声は好き嫌いが分かれるとは思う。結構声はペターッとしてる、うん。抑揚がないと言うか。ナントカトーンとかて言うんだよねたしか(よく知らないが)。でもソノ歌い方と曲の広がり感があいまってスゴイいい感じになる。ヨシノさんとかも抑揚ないんだけど音のジャカスカ感とあいまって、何かおんなじような感覚を抱く。その元祖て感じだなサイズは、ワタクシ的に。
ワタクシがサイズでコレ一番!て曲は「Wondering up and down〜水のマージナル〜」という曲で、ノスタルジーていう、郷愁てんですか?なんか夏の夕暮れ、麦わら帽子と白いランニングシャツと半ズボン姿で虫の網を片手にトンボを追いまわしてる二人の子供、ていう映像が浮かぶ。自分には実際そんな経験はないんだけど、なんかそゆステレオタイプな古き良き少年時代、みたいな映像がね、いいなぁて思う。キュンとくる。この曲はワタクシの中の「殿堂」に入ってる。生涯で3本の指に入るぐらい良い。
で「ファジィな痛み」とか女のコみたいな可愛らしいかったりする詞(まー男性が詞を書いてるんで、あくまで「男」が考える詞ではあるんだろけど)とか、「花のように」なんてのは桜の下で卒業証書の筒を持った女学生(言い方古い??)二人がまるで姉妹のように笑顔で歩いてる、、なんて絵が浮かんで、いいやね〜と思う。こゆのも弱い。ちょっとしたアルバムの中の1曲にも佳曲がいっぱいあって、よく捨て曲無し!なんてありがちな表現があるがホントそんな感じ。
そんな感じでとても書ききれないんだが、最近思うのはこうサイズみたいにしっかり聴きこもうと思えばしっかり聴きこめて、ボーッと聴きたい時はボーッと聴ける、てのが良い歌(勿論2つの歌という意味でなく1つの歌で)なんだなと思う。ホント、もうこんな高レベルなバランスで結び付き合ってて、上質で密度の濃い、不思議な雰囲気のあるユニットてのは出てこないだろね。on button down(ちょっと「昭和」な匂いがする)とかスパングルコールリリライン(「まどろみ」を表現するのがウマイ!)なんかは少しサイズと同じ匂いを感じるけど。アーティスティックなね。そんな唯一無二の存在。