「IWGPレジェンドベルト」(仮)なんてどう?
プロレス業界、今年は古株が頑張ってる。たぶんノアの所属選手でGHC王者の武藤選手の評判が良いからだろう。武藤選手を皮切りにDDTの秋山選手ときて、その波はついに新日本の第3世代にも波及してきた。
遅くなったけど、録画してたAEWでのIWGPUS王者モクスリー選手vs挑戦者永田選手を観た。敵地アメリカAEWとはいえ、日本からやってきた永田選手は大歓迎のよう。まだまだソーシャルで人数は少ないんだろうけど有観客形式の中、観客はコロナ前のように声援を思い思いに送ってる。忘れかけてたこの感じ。懐かしいなーとすら思う。と同時にプロレスてコレだよな、ライブてこれだよなと。永田選手にとってはホームの新日本ではなくアウェイのAEW、しかも相手の本拠地であるアメリカだから緊張感もあっただろう。けどこの久しぶりの歓声にテンションは否が応でも上がったんじゃないだろうか。日本ではまだまだ制限がある中、向こうで受ける声援は格別のモノだったにちがいない。レスラー冥利に尽きるという感じじゃないだろうか。でも永田選手はソコはベテラン、テンションは上がりながらもコレから始まる試合の緊張感を落ち着きつつ保っている。
試合時間は10分に満たない。永田選手の得意な蹴りや魅せ技である白目式、王者モクスリー選手の土俵であるハードコアスタイルのレスリングなどを交えつつ、最後はボディに2発ヒザを入れてのデスライダーでピン。いやあちら風に言うとパラダイムシフトて言うのか。モクスリー選手US王座防衛。やや唐突な幕切れではあったが、物足りなさは全く感じられなかった。
武藤選手いわく「枯れた味わい」という表現がある。この2人の試合もその「枯れた味わい」があった。逆に言えばこういった試合はキャリアの浅い、または今トップ前線で輝いてる選手たちはなかなかできない。いや厳密にはやろうと思えばできる力はもちろんあるだろう。けど求められていない。彼らに求められるのは耐久スタイルでありガマン比べてあり、ルチャプロレスである。
モクスリー選手vs永田選手の試合は、もちろんお互いのスタイルというのはあるが、飛んだり跳ねたり派手に回転したり、いわゆるイマドキのプロレスではなかった。まだ新日本がルチャプロレスになる前のプロレスだった。もうオールドスタイルになってる。でもたまにこういった懐かしのスタイルを味わいたくなる。
今のプロレスは、ラーメンで言えば背油ちゃっちゃの野菜肉にんにくマシマシの流行りの二郎系。全部乗せでコレでもかコレでもかという具合。かたや永田選手の試合は昔懐かしい中華そばぐらいの違いがある。見た目はシンプルだけどしっかり旨味もコクもあり、汁を最後まで飲み干したくなる。
まぁソレは言い過ぎだけど笑。でもさすがにアメリカだったからかいわゆるアメリカンスタイル、アメリカンプロレスで、おそらく向こうではこういった感じのほうが受けるのだろう。大味で分かり易いプロレス。今となってはさすがにジャパニーズスタイルも浸透はしてるだろうし、モクスリー選手もリスペクトがあるだろうけど、あちらのニーズの根っこというか感覚は昔からあまり変わらないような気もする。関節技のような細かい攻防はやはり好まれないのでは。そして我が国のように30分越えが普通、ときに40分とかの長時間バトルも好まれない。このくらいの10分足らずで勝敗が決まるのがウケるのカモしれない。
アメリカのマットがいわゆるベテラン、古株選手の再生工場になりつつあると感じている。いや厳密に言えばAEWでありインパクトレスリングが、カモしれない。WWEの大量解雇により選手がどっと移籍してきそうだからだ。そういった選手の受け入れ口として、再生工場化しつつあるのではないだろうか。そしてコロナが落ち着けば新日本もまた受け入れ口となる。
そこで1つ提案。IWGP世界ヘビーを卒業した(トップ前線、第一線級を退いた)選手たちの「次なる目標」を設けてみてはいかがだろうか。たとえば仮に「IWGPレジェンド」、またはジュニアに対して「IWGPシニア」とか、かつてのU-30にならってオーバーエイジ枠としての「OVER45」とか、「IWGPクラシック」「IWGPトラディション」などなど、、の名称はなんでもいいのだけど、ようはベテラン古株選手の目指すベルトを新設してみてはどうだろう?と。そうすれば今は窓際に追いやられてる第3世代や、今元気のある古株選手を活かせるのではないか。みすみすアメリカの他団体やヨソを潤さなくても済むのではないだろうか、とも思うのだ。ようするに、自分のトコロに再生工場を作ればいい。ようは武藤選手の興行イベント「マスターズ」のコンセプトをいただく笑。せっかくインターコンチとヘビー統一してベルト減らしたトコロだけど。なんだったら昔のIWGPのベルトを引っ張り出してレジェンドに使ってもいい。
ルール的には普段は10分とか15分1本勝負、防衛戦は20分とかね。体力とかスタミナ、耐久性勝負ではないプロレス。資格は45歳以上とかさ、キャリア10年以上とかあってもいいけど、ソレはなくてもいいかな。SANADA選手なんかやってもいいと思うし。
禁止ではないけど、あんまり派手な飛び技とかはなく(せいぜいコーナーからのフライングボディープレス、ミサイルキック、エルボー、、)いわゆるキャッチアズキャッチキャン、レスリング、グラップリングの攻防、ヨーロピアンスタイルなど「大人」なプロレス。あんまり意味無くグルグル回ったりしない。もちろん永田選手のような蹴りのスタイルでもいいし、小島選手のラリアットプロレスでもいいし、モクスリー選手みたいなハードコアがあってもいい。いわゆるメインストーリーとはあんまり絡まない形、独自にストーリーはあってもいいけどとくになくてもいい、シンプルに強い選手巧い選手が勝つ。昔だったらベルト前線を退いたら悪役商会とかお笑いコミカル路線で試合をするしかなかったけど、また別のそういう感じの試合が興行の1つとしてあっても「味」が変わっていいんじゃないかと思う。
というのも今ケガ人が多いからだ。ルチャプロレスであり、長時間耐久プロレスなのもあって、受け身のタイミングがちょっとでも遅れたら致命傷になりえるからである。でもこういった形式の試合でありベルトが「レスラー人生の先」にあるとしたら、今トップ前線で頑張ってる選手たちも飛んだり跳ねたりだけではなく、そっち方向の技術なども磨くようになるのではないだろうか。インターコンチはこの方法があったよなと今さらながら思うけど、まぁもしかしたらKOPWがコレになってもいいのでは。現状、矢野選手専用みたいになってコミカル路線だけど、NEVERみたいにコンセプトが変わってもいいワケだし。