プロレスラーのやられっぷり。
TVで新日本の内藤選手密着みたいな番組をやってたので観た。彼は持ち前の口調で客のコトを「お客様」と言うが(まーコレは掌返しした客に対しての皮肉をこめてなんだけど)自分の中にいる「内藤少年」=ファン目線を大事にしている。会場に選手の中で一番早く入って、端のほうまで行ってから会場を見渡す。熱の届き具合などを確認している。
そういう番組の内容とはあまり関係なく、でも「客目線」という意味では共通するが、観てて思ったのが「プロレスラーはやられっぷりが大事」というコトだ。
「受けのプロレス」という言葉があるけど、ソレとはまた若干ニュアンスがちがう、というかその「受け」部分をもう少し掘り下げて見てみると「やられっぷり」という言葉がひとつ浮かぶ。
シングルマッチ、1対1で、かたや応援してる選手A、対角側に相手の選手Bがいる。
応援してる選手Aが攻撃をする。たとえば逆水平を打つ。逆水平を受けてる相手選手Bは歯を食いしばりながら苦渋の顔。胸が真っ赤になってく。そういう苦渋の顔をしてるBの姿を、Aを応援してる人たちは見たいワケだ。ソレはBも解ってる。だからすかさないで受ける。今度はBの反撃。お返しの逆水平。Aの苦しむ顔。Bを応援してる人たちの溜飲が下がる。お客さんが見たいモノを提供してる。逆にAが劣勢、Aを応援してる人たちはその劣性を耐えて盛り返してくる姿を見たい。そういうのもある。
やられっぷりがカッコいい。耐えて盛り返してくる姿がカッコいい。格闘技だとこうはいかない。格闘技はコレらの姿を見せたら負けにつながるからだ。ボクシングなどではいつ打ったのか分らないぐらい素早いフックでKOというシーンがよくある。プロレスではまずこういうシーンはありえない。大体最後にはわかりやすく、最大限の盛り上がりでフィニッシャー(必殺技)を放って終わり。カタルシスを最大限に、というのがある。
勝負論も大事ではあるけど、勝ち負けではなく「お客さんの目線」というのを最大限意識する、というのがプロレスだ。