お兄ちゃん。
ドリー・ファンクJr選手の引退で思ったコトを。ドリー選手についてはワタクシは「何だかしわがれたおじいちゃん」という昔からの印象があるだけで(ドリー選手はあの頃は何才だったんだろうか、、?)特に感情移入した選手でも無いんだが、でもホントはこういうレスラーこそプロレスでは重要というコトも今では分かっている。
ザ・ファンクスといえばやっぱりテリー選手派が多くを占めるだろう。キン肉マンのテリーマンのモデルのテリー・ファンクはドリー・ファンクJrの実弟。テキサスブロンコ、必殺技はスピニングトーホールド。お兄ちゃんのドリー選手は片ヒザついて打つという独特の打ち方をする、効いてるんだか効いていないんだかよく分からないエルボースマッシュ。玄人好みのレスラー。引退試合の解説をした鈴木みのる選手もテリーファンクを見てプロレスを志したと発言しているし、自著『風になれ』にも記述してある。
引退試合は6人タッグマッチ。パートナーの武藤選手ならびに西村選手はドリー選手に花を持たせようと、そして相手のうちの2人も67才のおじいちゃん相手に攻撃の手も甘くなるそんな空気の中、対戦相手の1人天龍選手だけは違った。67才のおじいちゃんレスラー相手に一切の妥協をするコトもなくいつものようにハゲしい攻撃を加える。逆水平チョップもいつもの試合のようにドリー選手のノド元へグサリ。ワタクシは週プロの写真を見て「ココまでしなくても、、」という思いを抱いたが、解説の鈴木選手は「天龍だけが正解」と言い放つ。
たしかによく考えれば「正解」というのはまっこと正しい。一見してみると老いぼれレスラーを虐待してるような残酷な絵に思えるが(でも天龍選手だってもう60に近い(?60だっけ?)のだが)、プロレスラーというのは相手に手を抜かれるコト・ナメられるコトが一番の屈辱になる。ドリー選手に対して本当に尊敬の念を持ち、彼を送り出そうとするならば手を抜かず本気になって彼と戦うべきなのだ。その方がレスラーとして本望だと思う。天龍選手はドリー選手に自分を投影したのではないだろうか?自分が引退するなら相手には手を抜いて欲しくないと。最後までナメられたくない、と。コレは天龍選手流のはなむけなのだ。
でも鈴木選手の言い分はまたちょっと違うとは思うが。「リングに上がれば女も子供も関係無い」と彼は以前から発言しているし、その伝でいえばたとえ相手が67才のおじいちゃんだろうが何だろうが関係無い、というコトになる。一言付け加えておくが鈴木選手は「お金を払って見にきたお客さん」を上位に置いている。よってそういう論理になるのは至極当たり前なのだ。リングに上がったらお客さんを満足させるためにプロとして試合を見せる。ソレが第一。
老いさらばえようが何だろうが、プロのレスラーは最後までプロレスラー。よってドリー選手は最後までプロレスラーとして、そのレスラー人生の幕を閉じた。