ゴーゴーミッフィー展に行ってきた!後編。
霞ヶ関駅からのんびり歩いて30分、今回の会場である松屋銀座8F大催事場に到着ぅ〜まさに銀座なう(笑)。GWの真っ最中なので入り口から人人人!一瞬どっから入っていいのかワカラナイ。入場料¥1000也を払い、中に入るともうソコはミッフィーの世界!初めのうちはブラックベアのペーパーバックも置いてあるけど、あとはひたすらミッフィーづくし。お休みなので親子連れも多くおこちゃまがワーキャー言ってる。ソコがなんかいわゆる展示会の風景とは違う。
絵本の原画とか展示されてるんだけども、全ての絵にディック・ブルーナのコダワリでありセンスであり哲学が貫かれてる。ミッフィーはミッフィーカラーといって決められた7色のみ使用して、その組み合わせで絵を彩ってるのだけど、7色とは感じない。もっと多く感じる。ソレは色の組み合わせの妙だな。
もともとはマティスの影響を受けたようで、今回初めて展示された、彼がプライベートで誰がいつ誕生日かを書き記した「バースデー・カレンダー」を見ると、絵の輪郭を気にするコトなく単色の色をベターっと大胆に塗るという表現方法で、まさにマティスそのもの。この「バースデー・カレンダー」には彼のラフな絵が月ごとに描かれてるんだけど、まわりで観てた女性の人たちは一様に「かわいい」と連呼していた。ワタクシの求めるディック・ブルーナの絵とはちがうけど、たしかにコレはコレでかわいいモノだとも思う。現代の女の子に受けるような絵だな。
ミッフィーはともすれば「小学生でも書けるよな」と揶揄されがちで、現に観に来ていた女性のおそらく付き添いの男性が言ってたのがを耳に入ってきたのだけど、ワタクシからすればソレはセンスがな〜い!というコトになる。たしかにコレ1枚「だけ」ならそういう言葉もつい口から出てしまうカモしれないが、この1枚の絵に至るまでには、ソレこそ途方もないくらいディック・ブルーナの「あーでもないこーでもない」という試行錯誤の下書きであり、修正につぐ修正の、その山の上に成り立ってのこの完成形の1枚、なのである。
最小の色と最小の線の構成で、まだ満足に言葉も話すコトのできない世界各国の赤ちゃんでも一瞬で「この絵から伝わってくる『感じ』」を捕らえさせるコトのできる、そういう絵なのである。
世界各国だよ!だってディック・ブルーナてオランダ人なんだぜ。オランダの人の書いた絵を日本の子供でもパっと見てすぐに何か感覚的に捕らえる・解る、ていうスゴサ。万国共通てコトだよな。その感覚を持ち合わせてる人なんだよ。83才というおじいちゃんにしてな。どーだい、ちょっとはタジろいだかい?
ようするに「記号的」なんだよな。ピクトグラムなんかに近くなる。でも「笑ってる」というのをただニコニコ顔を描いて「笑ってる」と伝えるのでなしに、ほんのちょっこしだけ顔を上向き加減にしてみたりするコトで表現してる、トレードマークの点々のおめめとばってんの口はそのままに。色の組み合わせであったり、目をほんの1ミリ上に描いたり内側に描いたり顔の角度を変えたりするコトで「喜怒哀楽」ていう単純な感情だけじゃなく、よりフクザツな感情も伝える。褒められて得意気なんだなーとか、絵を観てると「何でこんなに感情が伝わってくるのかなぁ?」と思う。逆に基本の構成が変わらないから、ちょっとした動きの変化でさまざまな感情だったり心の動きが伝わってくるんだろうなぁ。
もうホントに感覚でしかないと思うんだよな、ディック・ブルーナの。だからまず下書きをいくつも書いて、その中で採用する絵の本描きをしてくんだけど、その線もクルっとまんまるを描くのではなく、まるで針を打つような、どちらかというと刺繍とか彫刻に似たような感じで、1つ1つの点に集中して点を連続させて線にしてく。命を吹き込む繊細な作業だ。そうやってできあがった絵が全て決定稿になるワケではない。もちろん中にはボツになるのもある。その中で採用となった絵にやっと配色を決めてく。配色は先ほど書いた7色の色紙(いろがみ)を切り絵のように切り抜いて原画に重ね合わせる。そういう製作のプロセスも展示されてる。ソコでもあーでもないこーでもないが繰り返されて、ようやく1枚の絵が完成する。そうやってできた絵が1冊の絵本に製本される。
彼の視線の向こうには、この絵本を読むであろう世界中の子供たちが見えている。その子供たちに彼の想いを伝えるために、繊細な作業が繰り返される。
とまーコムズかしいコトを書いてきたけど、ただ簡単な絵だからといって簡単にできあがるワケではない、というコトを言いたかっただけなのだ。ムズかしいコトをそのまま伝えるよりも、子供にも分かりやすく簡単に。直感的に感じて欲しいから、シンプルな構成にするコトで、伝えたいコトがよりハッキリと伝わる。ソコの絶妙な削ぎ落とし加減、コレがディック・ブルーナのデザイナーとしての力である。
混んでるのであまりじっくりと見るコトもできず。ソレでも展示作品が多かったので、出た後時間を確認したら2時間経ってた。じっくり見てたらもっとかかっただろうな。
さぁー次はおまちかね、グッズ売り場!目の前はもんのスゴい人の山である。ソレにもめげずひととおり見て回ると、もーありとあらゆるミッフィーグッズが販売されてるて感じ。かなりの物量、物量攻めだ。今回の展示会限定の、デザイナーとコラボしたぬいぐるみとか、ぬいぐるみも大小さまざまなモノがあるし(指人形サイズのモノまである)、ソレこそ市販されてそうなミッフィーのプリントされた弁当箱とかそういう類のモノまで。ホントありとあらゆる、だ。ミッフィー好きならおそらく舞い上がっちゃってアレもコレも欲しくなるに違いない。ワタクシも手頃なお値段と大きさのぬいぐるみを買おうかとも思ってしまったけど、結局はちょうど使ってるメモ帳が終わったので、欲しかったメモ帳とコレまた欲しかった柄のバンダナを買いやした。実用的(笑)。布なら何でも使えるしあっても困らないし、まーあんまり使わない(使えなさそうな)モノ買ってもしょうがないしね、と夢から覚めてつい現実思考になる。
最後にリンクのっけとくぜぇい。ワタクシは近年のお団子みたいな形のミッフィーよりは、『うさこちゃんとうみ』とか1963年ぐらいのおまんじゅうみたいなミッフィーがいいな。今回の銀座を皮切りに日本全国巡回とのコト。
http://www.asahi.com/event/miffy/#
そういえばやぎ本の「やぎのぢぇーむすくん」のもとはミッフィーなんだよな。高校の時に絵本(http://d.hatena.ne.jp/katakotocafe/20051003)を描いた時点では「こんな感じ」ていう、浮かんだイメージだけで描いてたけど、たぶん刷り込まれてたミッフィーの絵本が無意識的に出てきたんだろうなぁー、と原画を見ながら思い出したわい。