引き算の美学。
もうすでにTVのCMもバンバン流れてるけど、ゴルフに1.2リッターエンジンが搭載されたモデルが追加された。1.2リッターといっても同時に追加されたポロの1.2リッターエンジンモデルとは違って4気筒(ポロは3気筒)で、このエンジンを積んだゴルフがエントリーモデルとなる。
1.2リッターシングルチャージャー(ターボ)で105馬力。ゴルフのあのデカさで1.2リッターてどーなの?て日本人なら思うカモしれないけど、雑誌を読むトコロによると何の過不足も無いらしい。高速での加速とかさらに余裕が欲しいと思う人には1.4リッター、2.0リッターモデルもあるが、1.2リッターでも必要にして十分とのコト。
レスイズモアのココロ。お国柄なのか、今もなおドイツにはバウハウスの精神が息づいている。
かつては日本人にも「引き算の美学」という美意識があった。ミニマリズム。しかし何故かクルマについては「気筒数が多いのがエラい!」とか「馬力があるのがスゴい!」など恐竜的欧米的なモアパワーを好む傾向にある。そういう信仰めいたモノがあるため「ダウンサイジング」という発想は日本人にはなかなか受け入れられないようだ。だからエコロジーでもハイブリッドという足し算の方向、モアパワーの方向に行ってしまう。
しかし、ハイブリッド車て重いんスよ、現状。どーしても電池の重量で重くなる&コストが高くなる。車体価格の半分は電池、とさえ言われてる。ソレでも特に現在はデフレなので値段を抑えないといけない。するとどっかしらでコスト調整しなければ企業にとっても利益にならない。おそらく質感が下がってたりとかクルマの造りにも影響があるはず(目に見えないトコロなんかで)。
だったらクルマそのモノを軽くすればエンジンも小さくて済むから燃費も良くなる、て発想が「ダウンサイジング」なのである。日本人はウォークマンとか「軽薄短小」というのが得意だったはずなんだけど。そしてソコに価値を見出してたはずなんだけどね。
よって「引き算の美学」というのをクルマにも当てはめて、ハイブリッドだけがエコロジーなのではなく、今回のゴルフのようなクルマにも相応の価値があると認識されてはいかが?とそう思う。決してエコノミーではなく「必要にして十分、ソレでいて軽快」という、この「軽快」という部分に価値があるというコトだ。
ちなみにターボといってもダウンサイジングで使用される場合、どっかーんターボ的なより強力な加速を得るためではなく、そのままでは力不足なエンジンを自然な形で力を補うために使用されてる。簡単に言えばハイブリッドで言うトコロのモーターにあたる。ハイブリッドの場合はモーターを追加するコトで(もちろん電池も)出力を得て、ダウンサイジングの場合はターボなりの加給器で排ガスをもう1回利用して出力を得る。アリモノを利用する。絞った雑巾をさらに絞ろう、絞り切ろう、使い切ろうという感じ。