ここんところイギリスに興味がある。同じヨーロッパでもフランスのようにおしゃれでもなければ、イタリアのように陽気でもなく、イギリスは地味である。ロシアに近いイメージすらあるが、ロシアとちがうのは伝統と格式があるところか。空がいつだってグレーだ。
パイやスコーン、シェパーズパイ、フィッシュ&チップス、イギリスの食べ物は「練り物」が多いなぁと思う。だから見た目はパッとしない。パッとした華やかさはないが、素朴で心温まる感じがある。
わたくしがこの本を買ったのは、ここんとこ興味があるからといって、最近買ったわけではない。もうだいぶ以前に買ったのだが、その時は別段パブに興味があるとか特別な理由はなかった。ただなんとなくこの本に流れている、空がグレーで質素で素朴、だけど流されない存在感のある、ゆったりとした独特の時間を持った「イギリス」というモノをわたくしは感じ取った。
アイリッシュパブみたいにわいわい酒を飲むというのも、あれはあれで場として良いなと思うが、この薄暗くて地味だけど、人のぬくもりやゆったりしたリズムに身をまかせつつ酒を飲むロンドンのパブ、というのも味があって良いモノだと思う。