「いやいやいや、、」のつづき。
4月26日のブログのつづき書くか。
同僚(仮にSくんとしよう)に「いやいやいや、、」が口ぐせの人がいる。前回書いたように、お笑いの人が言う「いやいやいや」ていう意味ではなく、まるで自分に弁明してるような稲川淳二氏の「いやいやいや、、まいったなもー」の「いやいやいや」だ。
彼は何かというと「いやいやいや」と口にする。朝、ワタクシと同僚のもう1人が休憩室に先に来てて、後から彼が入ってくるときも、我々2人が「おはよー!」と言っても返ってくる言葉が「いやいやいや、、」or「おはよう、、、いやいやいや」みたいな感じ。はじめは「何が『いやいやいや』やねん」「稲川淳二か!」とココロの中でツっこんでたのだが、前回の書きかけたブログの前日、「アレは何だろな、、」とあらためてよくよく考えてたら「まてよ、『いやいやいや』て、、便利だよな」と思えてきた。
我々が普通に使ってる朝の挨拶といったら「おはよう」だ。または「おはようございます」。でもソレは相手がいてこそだ。相手がいて「おはよう」or「おはようございます」と返してくれて成立する。こちらが「おはよう!」と相手に言ったのに、相手に無視されたり聞いてなかったりしたりして返事が無い場合、コレは変な、気まずいような空気が流れる。せっかくの朝なのになんだかいたたまれない。
一方「いやいやいや」。コレは別に相手がいなくても成り立つ。成立する。元の稲川氏の「いやいやいや、、」というのも、稲川氏の場合、舞台上に出るとはいえ「ひとりごと」みたいなモノである。たしかにTVカメラや観客は目の前にいるのだけど、単なるつぶやき。言うなれば「人に聞かせるつぶやき」みたいなモノだ。ソレでいて「いやいやいや」を耳にした人(我々2人のコト)はSくんの存在を知るコトができる。そして即Sくんと特定できる。しかも「おはよう!」のように朝にしか使えない、一度しか使えない、時間限定の言葉ではなく、いつでも、何回でも使える。元がひとりごと、つぶやきなのだと解釈すれば、耳にした人は別段反応しなくてもいいし、コレが彼の挨拶だと思えば、反応してもいい。返さなくても変な空気にはならない。
「おはよう」だとか「こんにちは」「こんばんは」という挨拶は、相手が返してはじめて成立すると考えると、コレは半ば強制的ともいえる。そうすると、この「いやいやいや、、」というのは、相手に気遣いしてる、とも考えられる。
稲川氏が舞台に出る際に使うぐらいなのだから、人々のココロにするっと入りこむコトができる。別に「おはよう!」でもいいのだけど、その後たとえば天気の話でもして、、でもその後「何話したらいい、、?」と続かない場合もある。「いやいやいや、、」だと、ワタクシがはじめて耳にしたように、なんとなく一瞬ツっこんでしまうだろう。そうすると初めて合う人でも、場の緊張が緩んでなんとなく和む。緊張してたのに(その場に意識が過剰に集中)、「いやいやいや、、」のほうに気がいって(その場→言葉に意識が向く)、ツッコミなりくすっとした笑いで場がちょっと和む、そういう効用もある。
そう考えると、つくづく「便利な、使える言葉だなあ」と思える。Sくんは意図してなのか無意識なのかは分からない。けど彼がいつかこの「いやいやいや、、」を自分の口ぐせにしよう、自分の言葉に取り入れようと決めたのには、すごいなというか、関心してしまったのだった。
ワタクシも何か、自分なりのこういう言葉があればいいなと思うけど、、、「いやいやいや、、」を越えるモノはなかなかないなー。