58秒91。
4年に1度のオリンピック。この4年という間に、選手は肉体的にも精神的にも好不調の波がある。自分が信じられなくなったり、また自分を取り戻したり。1度金メダルという頂点をつかんだ選手はどうしても周囲の期待が大きくなる。そういう中での100m平泳ぎ、北島選手1人だけ58秒台という前人未到の領域で再びつかんだ金メダル、そして世界新記録。この金メダルは前回とは重みが全く違うモノだと思う。気持ちは?と促されて「超気持ちいい」とリップサービスで言ってくれたけど、ホントは言葉にならない、感無量なんだと思う。北島選手にとっては望んでた通りの、ホントにベストな結果じゃないかなと思う。
競技というのは相手がいるから、自分がいくら自分自身を律して冷静でいようとしてても、相手が冷静でいなければ相手の感情・気持ちが移る。相手が意気込んでたら力んでしまうだろうし、緊張をもらってしまうだろうし、そうなると身体は硬くなる。本来の実力が発揮できない。自分がその一戦に入りこんでいればいるほど、相手の気持ちを受け取ってしまう。そして大会場というプレッシャー、オリンピックという場のプレッシャー。
北島選手は、決勝はそんな様々な力から自分を見失わないように、まるでロデオの馬のように自分を制しながら焦らないように落ちついて、自分を信じて泳いでいたと思う。
人が応援するのは選手その人自身が自分に打ち克つ、その姿を見たいから人は応援するんだと思う。自分に打ち克ったその瞬間に、人はその選手を通して凝縮した、様々なドラマをソコに見る。
柔道の内柴選手といい、北島選手といい、日本はいい調子でノってきた気がするな〜。