待つ男。
今朝、電話の音で目覚めた。出ようか出まいか逡巡したあげく、ガバっと起き上がって受話器を手に取る。
久しぶりにあの人の声だった。もう何年ぶりなんだろう。トモ兄ちゃんかハル兄ちゃんか、どっちだったか結婚して、子供ができて、近いうちに家に行くんだってさー。へぇー子供いるんだー。近いうちてコトは正月かなぁ。あーやっぱりちょっと声低くなったかな。何でもない近況を矢継ぎ早に話しながら思ってる。元気そうだな。
ワタクシは待ってる。待つ男。いつかこの人が、未来の自分の店に顔を見せに現れるコトを、ひそかに夢見てる。そのコトが、ワタクシがお店をつくりたい理由の、大きな理由の1つだ。そうすれば、たぶん今までのいろんなコトが、報われるんだなきっと。ソレまで、ワタクシはお店を開けて待っている。
そうか、もう何年かすれば60になるのかぁ、、。お互い年をとったなぁ。
また近いうちに必ず連絡するよう伝え、受話器を置いた。
あー、またトモ兄ちゃんたちとの関係を聞くの忘れたな〜〜。