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モモ ¥840(税込)

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モモ
ミヒャエル・エンデ 大島 かおり

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ども。復活!と景気のいいことを言っときながら、なかなか書く時間を取れずに今日まで来てしまいました。わたくし、やぎのぢぇーむすが不定期ながらこちらにお邪魔させて頂きますので、よろしくお願いします。
この本はわたくしのブックオブザイヤーであり、かつわたくしのフェイバリットとする『かもめのジョナサン』『スイミー』に続く3冊目、と相成りました。この本に今年出会えて良かったと思っております。
この『モモ』という本、子供の頃読んだことある!という方もいれば「読んだことないけど名前は知ってる」「あーあの時間どろぼうの本でしょ。時間は大事よって話」という方も多いと思われますが、わたくしは後者で名前となんとなく話は知ってる程度でした。そういう「なんとなく知ってる」「聞いたことのある」本というのを実際読んでみよう!というのがこの本を手にした発端であります。
ただ実際読めば読むほど「この本、子供が読んで解るのかなぁ〜」という想いが深くなっていきます。たしかにこの本に書かれてるのは「時間は大切なもので、お金には替えられないもの」ということが一番強く主張されてます。その辺までは子供でもなんとなく、ぼんやりとでも分かると思いますが、この本で作者ミヒャエル・エンデが真に伝えたいことというのは、もっともっと深く、今現在でもそうとうエッジの立ったコトだと思うのです。
わたくしたちはかなりのシステム群に依存しています。国という大きなスケールの組織から、会社など小さいスケールの組織団体・枠組み、そして時間という概念や貨幣に頼る資本主義、、。これらは一見打ち破ることのできない強固なカベとして存在していますが、所詮は人が作ったものでもあります。
実はお金がなくても、人は生きていくことはできます。そのことを皆さん忘れてはいませんか?自給自足。これです。ただそーは言っても現実を見ればやっぱり少なからずお金は必要です。しかし月に10万もいらないかもしれない、、となるとどうでしょう。基本は自給自足で、足りない生活費分だけお金を稼ぐ。みんながみんな、そういうことをしたらまずこの国は崩壊することになるでしょう。今の税制では納税者に適さないためです。たしかに国はもっとあらゆるところから税金を搾り取ることになるのでしょうが、そうはいってもたかが知れてます。国を存続していくには何かを生産・輸出し、外貨獲得に積極的になるしか方法がありません。そこまでの強制的な税制になるとすると、まずお金持ちと言われる人はもっと低い税率の国へ移住することになると思われます。そういう方たちなら永住権を取得することも難なく可能でしょう。高所得の人たちがみな海外に流出し、国民からは税金が取れない。しかし人々は幸せなのかもしれません。少なくとも今よりも。いろんな歪みが正常に戻るかもしれません。
今は株式投資が盛んに行われ、企業ではM&Aをすることが当たり前になってきました。コレは全て時間=お金という図式の上で成り立っています。しかしどちらも本質は存在するものではなく、あくまで人間が決めたルールに過ぎません。非常に無形な物のやりとりなわけです。
物語では、主人公の女のコモモは時間どろぼうから奪われた時間を取り戻したコトで、一見「勝った」ように見えます。でも違います。元に戻っただけで、依然としてシステムから抜け出せないでいるのが現状です。実はエンデが言いたかったことというのはここなのではないか?という気がします。たしかに時間どろぼうの一件で人々は「時間というものは有意義に使わないと」という思いを深めたとは思います。自分の人生を楽しく、有意義に生きていく。ただいつでもまた、時間どろぼうは自分らの活躍できるチャンスをうかがっているのです。モモは時間の国から戻ってきた後に、円形劇場あとで畑を耕し、種を蒔いて、自給自足をするべきでした。
これを突破する思想、というと大袈裟ですが「完全なる自由」というのをわたくしは考えました。完全なる自立、と言い換えても良いかもしれません。しかしそれを実現するのはまず不可能で、理想の範疇からはでません。そんなことを考えていたら、その考えとひょっとしたら合致するのでは、、?と思われる本をわたくしは発見しました。それはネグリ氏の『マルチチュード(上・下)』です。
この本についてはまだ未見なのですが、表紙の帯には「全体における、全体を統治する民主主義」とたしか書かれていました。これをわたくしはこう解釈しました。「国や組織などの枠に自分を依存するのではなく、一人一人が一国の主、自分自身を自分が統治する、こういう形になるべきだ、理想形、最終形はこうなるのではないか?」と。
わたくしはいわゆる米型の資本主義は終焉を迎えつつあると思います。それに右ならえのこの国の資本主義も、です。今のこの国の好景気(になりつつある)ぶりはこのままインフレにつながる可能性があります。スカンクの最後っ屁であります。なんとか絞りに絞って不況を脱しての景気です。もうあとがありません。アメリカに20年遅れのこの国も、後を追うようにその道を辿ることになるでしょう。今はすでにその終焉は定説とし、ではどのようにソフトランディングさせようか?こんなことを考えられ議論が交わされてるようです。
ある意味世界は終わりました。その点では日本人なら誰もが知っているあの預言者の言ったことは合ってるとわたくしは思っています。今は世界が次の段階、ステージに移ろうとする過渡期の時代です。そこは激動で混沌としています。過渡期の産物として地域通貨の出現やコミュニティが各地で形成されています。ただこれらは全て次へ移行するための「とりあえず」のことです。この世紀が終わり来世紀には、パーフェクトフリー、完全なる自由な世界の地平が、そこに広がっているかもしれません。
そしてこの物語で描かれてるモモの「人の話を聞く姿勢」というものがあります。彼女は決して彼女自身のフィルターを通して他者を見ません。ただ相手の話すことに耳を傾ける。これがわたくしも含め人にはなかなかできることではありません(わたくしはやぎですが、、)。これが彼女の「愛」の形なのです。他者のために自分の時間を使い耳を傾け、相手を丸ごと受け止める。その行為の全てが優しさであり温もりなのです。その他者と共に過ごす時間=愛なのです。受け入れるのではありません。あくまで相手のサーブに対してのレシーブだと思います。これはニュアンスの違いです。
マルチチュード』の帯にはこんな文章も書かれてたと思います。「支配することもなく、支配もされない」。相手を肯定するでもなく、否定するでもない。そう、モモの姿勢は既にこのマルチチュードを体現してるのだと思います。
やぎ本ではこれも合わせて読むことを推奨します。
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