BAUHAUS。
そしていよいよクレー。やっぱりクレーの作品が一番多かった。ワタクシが一番見たかったのは何と言っても『リズミカルな森のラクダ』。この作品は電車で展示会の車内広告にも使用されてるので、見たコトがある方はいるカモしれない。
丸と棒という単純な形で描かれた大小の木々に1頭のラクダ。木々はカラフルな色づかいで、まるで楽譜の五線符のような横線上に配置されてる。木々が音符のように、そしてカラフルな色と大きさの大小で音色の違いを表してるように見える。その中をコレまたカラフルでいかにも楽しげな1頭のラクダがリズミカルに行進してる、という感じ。ラクダも幾何学的な線に落としこまれ、体と手足がズレたりなんかしてるのが、かえってラクダのリズミカルさを醸し出してる。見ている者の気持ちを楽しくしてくれる。ラクダも音符のような木々に溶け込んで、全体が1つの音楽のよう。クレーは音楽を好んでたらしく、こういった風景(想像上でも)から「音楽」「リズム」といったモノを感じとってたのカモしれない。
この作品はクレーにしては割と大きめのサイズ?(といっても手頃な大きさなんだけど)で絵の楽しさがちょうどいい感じで伝わってくる。
もう1つ見たかったのが『赤いチョッキ』。赤いチョッキといいながらも、そんなにハッキリ赤くない。でもタイトルに違和感が無いのはこの絵から伝わってくる、チョッキを着てる子供(?)の喜びようはしゃぎっぷりから「赤」と名づけてもいいような、そんな楽しげな感情が伝わってくる。クレー独特の、エジプトの象形文字や絵文字のような記号に落としこまれて描かれてる作品。
クレーはまるで子供が描いたような、見てて楽しい作品がいっぱいある。でもこのクレーという画家がバウハウス(BAUHAUS)というドイツの建築学校で教鞭を取ってたという過去があるコトを今回知ってビックリした。実はヘルベチカもメイド・イン・ドイツなのだ。そしてワタクシはバウハウスモノが好きなのである。なんか自分のルーツに辿りついた感じ。だからへぇ〜と思いつつ一方で「やっぱりねぇ〜」という感覚もある。まだ最近クレー好きなったばかりなので、クレーがバウハウスで教えてたというのは知らなかったなぁ。だから好きなんだなぁ、と。
クレーの絵というのはたしかに子供が描いたようで楽しげだけど、どんどん線が引き算されて洗練されて記号化し、晩年には『天使』シリーズ(『忘れっぽい天使』が見たかったけど今回は展示されてなかった。。)のようなシンプルだけどバランスが良い作品にとなってく。ミニマルなんだけどソコにはユーモアがあって、そのユーモアがクレーらしさだなと思う。コレはミッフィーのディック・ブルーナ(ディック・ブルーナはオランダだけど)にも共通する。バウハウスの機能美とデザインのシンプルさにクレーのユーモアのセンスが加わる。
ワタクシが「な〜んかいい」というその中味に「ユーモア」は1つあるな。頭で理解するモノではなく、肌感覚で直で伝わってくる可笑しみ。ただ機能美でシンプルで、てだけではココロ動かされない。ユーモアがあるから「な〜んかいいな」になる。