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ふたり。 Family Tree/榊いずみ

Family TreeFamily Tree
榊いずみ

super sunny day bellybutton 深色 GOLDEN☆BEST/橘いずみ

by G-Tools
では、全曲聴いた感想を書こう。
まず①New Song。この曲は、このアルバムの中では一番古いのかな?といっても1年前の話だけど、その頃にはもうこの曲は生まれてた。
アルバムが出る出ると言われ、このアルバムのためかは分からないけど、以前からレコーディングもたびたびされてたみたいで、ひょっとしたらこの曲ができた時、今までの一応決めてたアルバムのコンセプトとか方向性みたいなモノが、全部崩されたんじゃないか?総とっかえというか全とっかえというか、オジャンになったんじゃないかと勝手に憶測してる。そう思っちゃうくらいこの歌の持つパワーがスゴい!この曲ができた時に、なにかビシっと進む方向が定まったように思える。もちろん今でもだけど、ライブで聴いた時から大好きな曲。
このアルバムほぼ全曲に渡って言えるコトだけど、やっぱり旦那さんに出会えたコトで、このアルバムができたと言っても過言ではないと思う。旦那さんがいなかったら、コレほどのモノはできなかったに違いない。
橘いずみ1stアルバムのタイトル『君なら大丈夫だよ』。その1曲目がタイトルと同名。不安で胸いっぱいの女性が「大丈夫だよ」という言葉に救われる歌。自分じゃこれっぽっちも大丈夫なんて思えないのに、人から大丈夫と言われて、ソレをなんとか支えにしていく。そんな歌を歌ってた人が15年の時を経て、確信を持って「大丈夫」と言えるようになった。榊いずみとしての初アルバム、その第1曲目としてこの曲。キーワードはくしくも同じ「大丈夫」。でも立ち位置は180度違う。まさに『New Song』。新たな地平に広がる、新たな世界。
メロウなギター音で溶ろけちゃいそう。風が吹きぬけるように明るくて元気があって。そして甘い。
②のホクロは、コレはもう明らかに男目線な歌詞というか、いずみさん1人じゃ決して生まれない歌だね。ライブで初めて聴いた時は、OくだTみお氏が歌ったら絶対ハマる!と思ったもんだ(笑)。
実はこの曲、知ってる人は知ってるのカモしれないけど、元ネタがあるみたい。有名な曲なの?。とある古本屋に入った時「お!ホクロが流れてる?」と思ったら、違う声だった。はぁ〜ん、コレが元ネタなのかと。たぶんそうだろうな。古本屋の店員が気付いたのだろうか。洋楽で、シブめの声で、ファンキーというか、ラララだかナナナで歌ってた。アタッキーていうの?ドラムがスパイスのように鋭い。
曲のイメージは、ストリップ小屋のような覗き部屋のような、、いや表現がダメだな(笑)。セクシーな、そしていかがわしさもある感じだけど、いずみさんのは女性らしいキュートな感じに仕上がってる。「君のおしりのホクロ」なんて、絶対2人じゃないと出てこない歌詞だね。そういう意味で旦那さんと共作なんでしょう。こういう遊びゴコロもありです。
③3040(サーティー・フォーティー)。ワタクシは「さんじゅうよんじゅう」て呼んでる。イージューエフジュー。やりたいことをやれ、というシンプルかつ明快なメッセージを持つ歌詞。しかしそんなシンプルかつ明快な歌詞の中にただ一文、
「わたしはわたしだけだよ」
この一文が理解できるかどうかに、聴く人の分かれ道がある。コレは深いんだよ。わたしをわたし「だけ」で終わらせないためには、どうしたらいいか。やりたいことをやるのだ、というコト。コレも好きな歌だ。こうなったらいいな、と思う。しかしいずみさん、元気に軽やかに歌ってるなぁ〜♪。自分で歌ってみると、音のアップダウンが激しいコトに気付く。ソコでグルーヴが生まれるような感じ。お腹の底から声を出して思いっきり歌ってみたい。スカッとしそう。
①と③を続けて聴くと、ともすると重くというかチト疲れるけど、間に②が入るコトによってワンクッション置かれて、③がいい感じで聴ける、臨めるという、この3並びは絶妙。
④のつまらない世界は、映画『棚の隅』で使われてるというのは以前書いた。ライブという形ではなくCDに収録されて、より直接的に耳から聞こえてくるこの曲は、行ったコトもないし見たコトもないけど、まるで今まさに海岸線に陽が落ちようとするハワイ、のようなゆった〜りまった〜りテンポで心地よい。テルミンみたいなフワフワ浮遊音。
普段、日常に追われて空なんか見ない日が続いてる人は、この曲を聞きながらぜひ月を見て欲しいね。月はいつも、そして誰の上にも平等に輝いてるよ、と。日々カラダやココロを擦り減らしてる者にとっては、とても沁みる曲。そういう心境の時は、シンプルに大事なモノ・コト・ヒトだけでいい。
いずみさんの歌声の音量はかなり抑え目だし、音数も少ないけど、ソレでも淋しくならないのは、いずみさんが淋しく歌ってないからだ。穏やかに励ますように歌ってる。メロディーも歌声も歌い方も全てのバランスが良い名曲。口ずさみながら夜空を歩きたくなる。
⑤のLDK。ライブでは何回も聴いてるけど、主にアコースティックライブなので、他にも言えるコトだけど、このアルバムではかなり音がにぎやかになっている曲もある。
ワタクシはこのLDKがこのアルバムでの、さらに榊いずみとしてのキモだと思ってる。「あなた」の帰りを待ってるという、何でもない日常が切り取られたワンシーン。そんな歌詞に、過剰なまでに情熱的でドラマチックな音が付けられている。なんでこの音なんだろう?
でもソレも何回か聴くうちに理解できたように思う。あなたの帰りを待ってる何でもない日常が、情熱的でドラマチックなのだ。ただ言葉を縮めただけに思えるカモしれないが、そういうコトなんだと思う。だから三拍子(ワルツ)だと思うし。
「誰か」を待つという幸せを実感しているような、そういう実感を断片的な、目に映るいろんな有形無形のモノから感じ取って噛み締めている。ソレは先ほど書いた、何でもない日常が、ドラマチックに色彩を帯びて光輝いて映る状態。ソレがこの曲に、より色濃く表れている。女性が誰かを待つ心というのは、こんな情熱的な炎を燃やしているモノなのだろうか。女性はより強く共感できると思われる歌。
あー、でもコレはむしろ「LDK」=部屋、コレを象徴的に用いてるんだなぁ。戻ってくる場所、帰ってくる場所というね。「家」とかよりもも1つ深く掘り下げて、リビングダイニングキッチン=台所・食卓的な意味合いを込めてと。だから「待ってる」てのがリピートされてはいるけど、ソレだけではないんだな。
すごく詩的で映像的で情緒的なんだなぁ。
⑥の虹の庭。コレはこのアルバムが初の発表。捻じれた旋律で唐突にイントロが始まったかと思ったら、いずみさんの多重に多重を重ねた、まさにレインボーボイス!。ゴスペルだよな。この歌はいずみ流ゴスペルだ。
歌詞は、この曲のギターで参加されてる藤井氏(from THE GROOVERS)の色が反映されているような。いずみさんは選ばなさそうな言葉が使われてるので、そう思ったけど。ちょと男くさいのでね、ふふ。ロック!て感じだけどさ。でも最後の方になるとブラックていうの?なんか「黒」ぽくも感じる。いずみさんがブラックやってるぅ?!みたいな。ピアノもあるし。でも藤井氏はさすがロックギタリスト。あくまでもロック!。ピアノとゴスペルチックなコーラスにソロギターが入ってくるんだよ。だからなんか「ロック+ゴスペルの融合」みたいな極私的とらえ方。
しかしこの曲には励まされるなぁ〜。「たくましくあれ!」てね。ズンズンチャーの「チャー」部分でドラム&ギター、といずみさんの声とかアクセントとか歌い方とかでグルーヴが紡がれるというか。だから一度頭ん中でこの曲が流れ出すとエンドレス。
なんか今回のいずみさんのアルバムは、シンプルなメッセージが多いね。やっぱね、人はいろいろ考える。で、考えた末に出る結論というか到達点というのは、ムダな贅肉がなくなって本質だけが残るモノなんだよね。ソレはシンプルなモノなんだな。
⑦の祈りのレシピ。コレは「旦那さん版LDK」みたいな印象。LDKのお返しの歌ていうか、返礼の歌ていうの?そんな感じ。なんか旦那さんが基本的に作詞したんじゃないカナ?その詩をいずみさんができるだけ生かす形で、曲に合わせて手直ししたとか。歌詞からそんな感じがする。男の場合は素朴だな。でもウソ偽りない気持ち。
⑧のName。この曲はこのアルバムが初なんだけど、コレが今もって分からない。ていうか、アルバムでこの曲だけ毛色が違うじゃん。このアルバムの中では異色だよな。いや今までの路線でいえば異色でもなく「正当」だけどさ。どうしてこの曲をこのアルバムに選んだのか?加えたのか?今までの感じをまだ好きな人もいるだろうから、ていうコトでなのだろうか。
でも性が橘→榊に変わったコトで、名前について何か曲を、、ていうのも。ソレがきっかけかどうかは知らないけど、分からないでもない。「名前」ていうトコロから何か考えを広げてって、名前について考えたらこうなったと。人の笑顔のウラには何が隠されているか、ていう。大体の人が持ってる気持ち。ソコをいずみ流にすくいとって歌にしたという。今までやってきた「すくいとって」ていうのはコレからもやるてコトなんだろうな、きっと。
なんかね、もしこのビデオクリップをつくるとしたら、モノクロで、バストアップで画面に納まってる人が、自分の名前の書いてある(あと希望とか夢とか、なにか一口メモ的に「なりたいモノ」が書いてあるか、職業が書いてあるか。)TVで言うフリップを両手で持って、そういう人たちが2秒ゴト(2拍子ゴト)に切り替わってくという映像。全くのシロウトでね、こうみんな笑ってるワケですよ。笑顔でね、フリップを胸のトコぐらいに持ちながら。途中で榊英雄氏とかもいたりしてな(笑)。まぎれてたりして。そんな映像がずっと続くと。そんな映像が浮かんだよ。
でも音はカッチョいいよね。けだるいダンスみたいな。かなり実験的な音というか、ホント細か〜い音とかが入ってて、凝ってるというか作りこんでるというか。この曲に限らずだけど。でもこういうのはひらめきなんだろうな。こういう音が欲しいとか、入れてみたらコレいいじゃんみたいな感覚的な。で実際聴いてみるといい、ていうね。アルバムのラインナップとしては「?」なんだけど、曲としてはグー。
⑨のMy Little Jealous。私の小さな嫉妬心(直訳)。この曲を初めてライブでお披露目する時にいずみさんは「ちょっと恥ずかしいけど、、」と言ってた。聴いた時はメルヘンチックやわ〜と思ったけど、CDに収録されてるのはもっとメルヘン。なんか「ちいさなこいのものがたり」、チッチとサリーだっけ?を思い出す、そういう音。
でもね、New Songから少し時が経って、そしたらいろいろあるよね。愛てキレイな、白いだけじゃない。愛にもいろんな色があるんだよね、ていう。純白じゃなくてむしろ、いろんな色が混ざり合って、結果白になるていう気がする。
⑩の足跡。この曲をライブで初めて聴いた時、フランクシナトラだっけ?なんか『マイウェイ』て感じがした。両手を広げて浪々(ろうろう)と歌うみたいな。いずみさんもとうとうこういう歌を歌う(歌える)ようになったかぁと、感慨深いモノだった。決意表明というか宣誓!みたいなそんな風に聞こえる。
この歌で「暮らし」て出てくるんだよ。あと「日々」てね。こういう力強いシンプルな歌は『日々』とかシンプルな曲名にした方がいい、とライブの感想でも書いたんだけど、したら後日「足跡」になってた。さすが。
⑪はアルバムタイトルと同名のFamily Tree。この曲は⑩の足跡よりもっとマクロ的な視点というか、出会いの不思議とか、脈々と受け継がれ続いてく生命のつながりとか、そういったコトを「Family Tree」という大樹になぞらえた歌。FamilyTreeというのは、家系図という意味があるんだそうだ。歴史という壮大な、その永遠に続くであろう大きな流れに、自分たちをしっかり刻もうと歌う。
人の中にも木がある、と常々思ってた。冬の季節、裸んぼうの木はまるで人の血管のよう。自分の手と木を見比べてみた。ちょうど毛細血管はこんなようだと思う。心臓とか肺に張り巡らされた血管とか。後で知るコトになるのだけど、生物学か忘れたけど専門的には「フラクタル」と言うらしい。自然界にはある一定の形のパターンがあるんだそうだ。
人はまず生まれて、大きな幹を歩くけどそのうち、いろんな人生の分かれ道にぶつかる。どっちへ進むか、ソレを選んで歩いてまた分かれ道があって、の繰り返し。枝から枝へ進んで。でもどの道を選んでも、最終的には天へ向かう。つづく