この店最高〜〜〜!!
謎のあの店 1 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) 松本英子 朝日新聞出版 2012-08-07 売り上げランキング : 55819 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今回は紹介は紹介でも「本」よりか「店」の方の紹介。ひょっとしたらTVかなんかでもちょいちょい紹介されたりしてるので(ワタクシも1度見たコトがある)ご存知の方もいらっしゃるカモしれませんけども、まーなかなかブっとんだお店でございまして、そのブっとんだお店がこのマンガに載ってるんだわよ。
こちらがそのブっとんだお店↓↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=3NQ1ADXIMy4
もう〜〜立石バーガー最高でしょ!このしょっぱい感じがタマラナイ。。食パンのほっておかれ感がハンパない。
店主のおいちゃんの、お店をこうしたかった動機が何なのか聞きたくてしょうがないんだけども、たぶん最初は「自動販売機でウチのハンバーガー売ったら面白いよな」とか、または自動販売機への憧れみたいなのがあったのかな。そっから始まって「じゃぁ自分で作っちゃお」(笑)ていうトコから何か道を踏み外し始め、作ってみたらお客さんが喜んでくれるから、「じゃぁ今度はこういうのどうだろ」てどんどんどんどん作って、どんどんどんどん遠いトコロへ行っちゃったんだろね。
コレはでも奥さんは怒るの通り越して呆れるだろな。子供がいたら「おまえの店へんなのー!」とかいじめられたカモしれない。たぶんそういう不遇の時代があったはずだよ。でもコレだけ情報もあふれるようになって、ネットで「この店おもろい」ていうのが広まって、いろんな人が詣でるようになって、支持されるようになって、、ていうね。まぁわりと最近はこういう多様性も認められる風潮というか時代になってきたじゃない。ちょっと昔なら「へんなの〜」てバカにされておしまいだったモノが「いや、コレひょっとしたら面白いんじゃね、、?」ていう「視点を変えたら面白い」ていうね。ほんのデキゴコロでその人のワールドに身を委ねてみたら、意外といいぞコレ、ていう。
まぁオタク気質というか超マニアックというか、そういうのってバカにされる時期て必ずあるけど、ソレを通り越すと、まわりが呆れて、やがて「はぁ〜もうこいつはしょうがねぇな」「こういうやつなんだな」と存在を認めてもらえるようになるんだよな。ソコまで突き抜けちゃうと、もうフリーになる。独壇場。バカにされてやめちゃうから、中途半端で終わる。ソコでめげない。コレが大事なんだよ。今の若者、というか世の大半の人はそうなんだろけど、バカにされるとすぐココロが折れちゃうしツッコまれたくないから、こういうコトやらないし、やったとしてもやめちゃう。ココまで到達すればフリーハンドなのに。何やったって「あいつならいいわ」。ココまでになるのはたしかに不遇の時期があるだろうけど、「表現」てその不遇の時期を通り過ぎて、フリーハンドを得る、ていうソコだよ。その「フリーハンドを得る」ためだよ。
立石バーガーのおいちゃんもはじめは「ハンバーガーを売ろう」だったはずだよ。当たり前だけど。普通はそうだよな。普通は「自分の作ったハンバーガーを売る」。でもこのお店の場合、主従逆転しちゃっておいちゃんがメインになっちゃった。おいちゃんに会ってみたくなって、おいちゃんの話を聞きたくなる。
「自動販売機」ていわゆる「接客」とは逆方向じゃない?利便性とか人とのやりとりのわずらわしさからの解放とか。普通のお店なら、今の時代なんかとくに「人の手から人の手へ直接商品を渡す」というアナログさがいいんだ、と考える。ところがおいちゃんは逆を行った。「自動販売機で売ろう!」。その自動販売機がおいちゃんの手作りで、動画を見ればよく分かるように手動なので(糸で操作してるんだそう。マンガでは説明してる)、そのいかにも「中で人がうごかしてるんだろ」感が、1回点半ひねりして、おいちゃんへの愛情へ変化してしまうんだよな。今流行りのゆるキャラ的なんだよな、このお店自体。「愛すべき存在」と錯覚のように思ってしまう。逆においちゃんという「人」「人間性」が浮かび上がってくるんだよな。面白いよね。普通に手渡しして接客してるお店よりも「人」が前面に出てくるというか。思考は「ハンバーガーを食べたい」というより「またおいちゃんに会いに行きたい」になるし「今度はなんか新しいの考えてるかな」になる。そうなるともう立石バーガーワールドのとりこになる。たまにTVで「街の有名な発明おじさん」みたいな人が出るけど、ワタクシも年取ったら、こういうおっちゃんになりたい。
このマンガの作者の、マンガ全編通しての視線が良い。「ニヤリ、、」と少し「バカにしてる感」もありながらも、基本的には尊敬の念を持って描いている。細々とカモしれないけども、閉店せずにお店を開き続けてるからだ。よくぞこのままつぶれずお店を開き続けてくれた、、!その尊敬の念が全編に渡って感じ取れるので、読んでても心地いい。
最後に、おいちゃん。せめて食パンの受け皿を置いといてくれ。