時には己の命より上の価値のあるモノがある。
あやまって電車の線路に落ちてしまった人を、救い出そうとホームから線路に飛び込む人がいる。
目の前で苦しんでいる人をほっとく、見過ごす、殺すコトはできない。自分の良心に背くコト、自分を裏切るコト、ソレができない。自分を裏切りたくない。もし目の前で苦しむ人に手を差し伸べられなかったら、自分が後々苦しむコトになる。罪悪感に苛まれる。自分自身を責め続けるコトになる。肉体的な痛みより、精神的な痛みの方がよほど苦痛なのだ。
助け出そうと決めたその瞬間、人は死への恐怖を突き抜けるのカモしれない。死という言葉に対しての観念が変わるのカモしれない。その時に自分が「救おう」と思って取った行動、そのコトがある意味自分を「生かしてくれる」。ソレは宗教でも日本人が特別でもなんでもない。だから人は人を殺さない。
時に人には、己の命よりも上位の、重い価値のあるモノがあるのだ。