ダイヤモンドリングに指を通す。
皆既日食フィーバー。しかし東京はまるで梅雨が戻ったかのような空で、雲が切れ間無く空を覆い尽くしてる。
まーこういう時はTVで各地の中継を見るのが一番。日食が「皆既」で観られる奄美諸島や屋久島などは、雲が多少切れ切れにありながらも観れたらしい。沖縄が晴れてて一番良く見えたんじゃないかと思う。上海はあいにくの雨模様。でも日食のピークの映像がホントに真っ暗で、車のヘッドライトだけが流れて、全く夜の風景。かたや日本の島では海と島の岩肌など自然物に囲まれての闇。都会と自然、対照的だけどどちらも幻想的、というか荘厳な、おごそかな空気が漂う。夜とはまた違った闇の空間。
ほんの6分間ではあったけど、昔の人はこういった光景を目にして「世界が闇に飲みこまれてしまう」とか不吉だとか、決して良いようには捉えてなかっただろうと思われる。自然に対して畏怖の念を強く抱いていたに違いない。ワタクシたち現代人はこういう現象があるのを知ってるから、みんな笑って観てられるけど。だから天の岩戸の物語とか、いろんな逸話が残ってるんだろうな。
ワタクシはこういう得たいの知れない自然現象とか、人には理解できない現象などを総称して「神」と昔の人は言ったんだと思う。昔の人にはそういった現象や自然に怖れおののき、自分が生かされてると感じ、謙虚に生きていくという人生観があったように思う。もっと自然や太陽が身近な存在だったのではないだろうか。昔は時刻や方角も太陽とか星の動きで知ってたんだろうし。
太平洋上での中継映像では、水平線が360度、夕焼けのように紅く染まってた。上空は闇。月の真下にいるという証拠。
太陽と月が重なってコロナの映像から、月が移動してダイヤモンドリングの映像になった時、指を重ねてみた。「コレを君に贈るよ」。でも贈る相手はいない(笑)。だけど僕にはピアノがない。
次は日本で観られるのは26年後だという。