橘いずみさん①
くすんだ銀色のコインで そびえる山を崩しに行こう
ワタクシはこの「くすんだ銀色のコイン」を『己自身』と最近解釈するようになった。この歌の前の詞にある「弾丸のいらないピストル」は自分なりに既に解釈済みだったが、「くすんだ〜」だけはどーも分からなかった。誰もが己の価値を分からず日々過ごしてる。コインというのは裏と表、二面ありなおかつどちらか一面だけでは成立・存在できない。陰と陽。光と影。人は自分の中に矛盾する、相反するモノを抱えてるからソレに悩み苦しみ、またソレを乗り越えた時の達成感・充実感が大きい。自信になる。ソレを乗り越えようとしてる人は輝いて見える。
ワタクシは橘いずみを「嫌い」から入った。その頃働いていたバイト先の本屋(今はもう無い)で夕方5時過ぎ、今日もがんばんべぇ〜と思ってた矢先、店内にかかってるラジオから彼女の「サルの歌」が流れてきたのだ。コレにはゲンナリします。尾崎豊ぽいので敬遠していた。ある日バッタリあった友人に「バニラいいよ〜、かっこいいよ」と言われるが、まだ橘いずみ=サルの歌のイメージ100%なのでダメ。もちろんこの時点でバニラも聴いてない。
その頃雑誌で「今、関西で注目されてる」人として橘いずみが取り上げられていた。ポップジャムでスパイシーレッドを歌っていて「なんじゃこりゃー!」と思った。あの天下の国営ほーそーでいいのかよっ、て具合の空気の切り裂き感というか、いっちゃってる感というか。。これらの断片的な事柄と、近々アルバムも出ると書いてあったのでじゃあ、聴いてみようカナ、、と思って買ったのがシングル「GOLD」とアルバム「十字架とコイン」。「GOLD」、コレはきました。威勢のいい歌詞と少々ヤケっぱちな疾走感と。B面(カップリング)の「ONE PAIR」がGOLDとガラっと違ってオヨヨと泣ける。女のコの切なさが歌われていてグッとくる。そしてアルバム「十字架とコイン」で、ワタクシの「嫌い」方面に振れていた振り子がグワーンと音を立てて一気に「好き」方向に行くのであった。つづく。