2020年プロレスを振り返る。その4
wwr-stardom.com2020年、ワタクシが一番注目してた団体はスターダムだった。新日本とスターダムをTVで観てるけど、正直いってスターダムのほうが現時点では断然面白い。
新日本は現在は団体を牽引する選手がいない。飯伏選手はまだ役不足だし、オカダ、内藤選手は一歩引いてる。オーカーン選手や飯伏選手など下の選手を引き上げなければならないからだ。良く解釈すれば、この不安定なコロナ禍の状況だからこそ、しっかりしたストーリーのあるアングルというよりは、下の選手を引き上げるような「種をまく時期」に決めたのカモしれない。だから逆を言えば、コロナに翻弄されてるようにも見える。コレがいまいち団体に勢いが感じられない原因なのカモしれない。
かたやスターダムは攻めの姿勢で、アイスリボンから移籍してきたジュリア選手が破竹の勢いで団体を牽引していった。外から入ってくるというのは団体にとっては良い刺激にもなる。目新しさもある。ジュリア選手の大躍進=プロレスラーとしての彼女自身の成長が団体とリンクして、団体に勢いをつけてたと言っても過言ではない。正直ワタクシは前団体にいるときはココまでの選手だとは思っていなかった。ちょっと団体のカラーとはちがう武闘派な選手だなとは思ってたけども。やっぱり勢いのある選手がいる団体は強い。
彼女の移籍問題の件で、存在に賛否がある人は少なからずいるだろう。しかし「他に誰かいる?」と考えたとき、詩美選手、岩谷選手がまず浮かぶが、詩美選手はたしかに成長目まぐるしく、赤いベルトも奪取し、将来を期待されてる選手ではあるが「2020年MVP」ではない。おそらく「2021年」ではあるだろうけど。岩谷選手は団体の象徴であるにしても、赤いベルトを取られてしまったし、やはりMVPには及ばない。では団体外に目を移すとシードリングの世志琥選手は、たしかにネット動画でバズり、いわゆる「環状線の外側の人」に彼女の存在が伝わったというのは喜ばしいコトではあるけども、肝心のプロレスはというと、所属団体の大会数が少ないのもあり、ワタクシ的には純粋に「プロレスでの評価」という点で、ジュリア選手を推したい。
ジュリア選手を取り巻く状況というのは、一年前と比べたらガラリと変わったモノになってしまったにちがいない。彼女自身も想像してなかっただろう。岩谷選手はスターダムの象徴(自身は「アイコン」と称してるが)であるが、ジュリア選手は実質エースだ。団体に2本の柱が立った。彼女にメインを任せて大会を閉める、というのがもう当たり前になってしまった。団体に信用されてる何よりの証拠である。だから団体側も白いベルトを長期政権で巻かせている。
彼女の活躍をつらつらこの場で書くのは省略するが、忘れてはならないのがこの彼女に誰よりも早く噛み付いたのが「木村花」という選手だ。
2020年スターダム、いや女子プロレス界には悲しい出来事があった。ワタクシは彼女に2020年の特別功労賞を贈りたい。そして裏のMVPである。なぜならジュリア選手がコレだけ活躍できたのも、一年前「触ると危険」な存在だったジュリア選手に「コイツはおいしい!」ととらえ噛み付いた嗅覚、その嗅覚にまずは拍手。そして「コイツはトップ取るな、、」というプロレスラーとしての危機感、ソレが花選手が誰よりもいち早く噛み付くという行動に移させたのだろうけども、その衝動とプロレス頭に感服。さすがサラブレッドだと思った。
もちろん花選手以外誰も絡まないから、ジュリア選手にはスターダム内に信用できる、される選手ががいなかった。だからジュリア選手は外に仲間を求めるしかなかったワケで、ソレが彼女の作ったユニット、ドンナ・デル・モンド。その増員のペースも早く、この1年で早くもメンバーはだいぶスターダムに定着してきた。新しい選手がぞくぞくと増えれば団体内は活性化する。すべてはジュリア選手の手引きによるモノとするなら、彼女が団体を牽引してきた所以である。団体に勢いがあれば、外からどんどん選手がやってくる。より活性化する。ある意味好循環だとも言える。
たぶん花選手がいなかったら、今のジュリア選手はいないし、ひいては現在の団体のココまでの勢いもなかっただろう。惜しむらくは「彼女がいない」というコトだ。おそらく数年後、木村花vsジュリアは団体の黄金カードになってただろう。そしてWWEにも行ってたんだろうな、と考えるとつくづく残念だ。
女子レスラーは男子レスラーに比べて選手寿命が短い(と言われる)せいか、男子に比べて展開がスピーディー。たとえば新日本は数年経ってもリング内の景色が変わらないが、女子は1年したらガラリとリング内の景色が変わる。とくにスターダムは外部から選手がどんどん入ってくる。ソコがマンネリを防ぎ、飽きずに面白いという理由の1つなのカモしれない。